『美男ですね』で、一歩進めた
高畑充希
- Magazine ID: 1103
- Posted: 2012.07.18
大阪から出てくるとき、両親はまったく反対はしなかった。
「両親ともにミュージカルが大好き。最初は母親が好きだったんですが、父親も一緒に行くようになって、週末は家族で観劇ということが多かったんです。だから上京すると決めたときも『悔いのない人生を送りなさい』と言ってくれました」
たったひと言の援護射撃ほど、心を強くしてくれるものはない。高畑充希は舞台にはまっていった。
「今思えば、最初は何も持っていないのに自信にあふれていました。初心者は怖いものなし。失うものがないからですね。楽しいだけでやっていました」
演じることを重ねれば重ねるほど、悩むことも考えることも増えていった。怖くもなった。
「特に最近はどんどん怖くなってきた。普段は会わないような方と仕事をさせてもらって、私、こんなんじゃダメじゃんという感じ。褒められても信じられなくて『ほんとですかー?』とか言っちゃう。可愛くないですねえ。でも、普段褒めない人が褒めてくれていたよと人伝手に聞いたりすると、急にうれしくなってテンションが上がります」
’09年、舞台『奇跡の人』ではヘレン・ケラーの役で、観客の反応に少し自信をもらった。
「『奇跡の人』はいつかサリバン先生役もやってみたいと思うくらい、心に残っています。その後『美男(イケメン)ですね』のヒロイン、美男を演じたのですが、そのときは演出家の福原充則さんのスタンスが好きで、初めて自分から意見を言うことができました。それは大きな転機だったと思います」
舞台だけではなく、ドラマ、映画、声優、歌手と活躍の場を広げる彼女だが、なんといっても今年6年目になる『ピーターパン』は、はまり役と言っていいだろう。
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出演:高畑充希
1991年大阪府生まれ。AB型。山口百恵トリビュートミュージカル『プレイバックpart2~屋上の天使』主役オーディションでグランプリ。2005年12月にデビュー。数々の舞台でヒロインを務め、ドラマ、映画にも出演。声優、歌手としても活躍。7月20日から東京国際フォーラムで始まる『ピーターパン』で6年目の座長をつとめる。11月18日からは東京・青山劇場『アリス・イン・ワンダーランド』にも出演。ホリプロ所属。
ミュージカル『ピーターパン』2012公式サイト
http://hpot.jp/peter/top.html -
取材・文:森 綾
1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
撮影:萩庭桂太