ＮＥＫＯはアメリカ、ノースカロライナ出身。
「中学生のときに、日本のマンガの英語版を初めて読んで、すごく面白いと思ったんです。少年漫画の『遊戯王』でした。私が日本のサブカル大好きなのを父が知って、高校卒業のときに家族旅行で２週間、日本に来たんです。それまで私は人見知りで、人と関わるのが苦手だったんですけど、東京に着いた瞬間なぜか『ここ、懐かしい！』って感じた。心がぶわっと開いて、日本語なんてできないのに身振り手振りでコミュニケーションとりはじめて、自分でもすごいなって」
　アメリカに戻り、大学で日本語の勉強をスタート。交換留学生として１年間、早稲田大学に入学した。今では日本語ペラペラ。日本人以上にキレイな日本語で話してくれる。
　で、それから？
「もともと私は演技が好きで、役者になりたかったんです。でも日本語も好きだし、声優にも興味があるし。悩んでいたら知人が『日本で声優のこと勉強すれば？』って言ってくれたので、ダメもとでトライしたんです。声優の学校の受付に行って、『すいません、ガイジンなんですけど、入れますか？』って(笑)」　
　声優専門学校には、２年間通った。でもこの先、どうしよう？　悩んで就活しているときに、今の所属している事務所から声をかけられ、オーディションを受けたというわけ。
「『歌には自信あります！』って生意気にも言ってしまったんですけど、その後プロの皆さんの歌を聴いて、恥ずかしくなりました」
　もともと、アニソン大好き。でも正直、演歌のことはよく知らなかった。
「最初は違和感があったんです。でもいろいろな人の歌を聴くうちに、その素晴らしさがわかるようになりました。好きなのはちあきなおみさん。彼女は演じるように歌いますよね。感動です。あと、ジェロさんの歌を聴いたときに、あ、なるほど、アメリカ育ちでもこういうふうに演歌が歌えるんだ！って」
　ＭＩＺＭＯの低音部は、ＮＥＫＯがしっかりと支えている。
それにしても、どうしてそんなに日本にハマっちゃったんでしょうね？
「日本を好きな理由はいっぱいあるから、説明するのは難しいです(笑)。でもひとつ言えるのは、日本にいると安心、ということ。実は私、一時期コンビニでバイトしてたんですけど、最初びっくりしたのは、お客さんが『タバコ下さい』っていうと、店員は先にタバコを渡しちゃうんですね。信じられませんでした。アメリカだったらそのままお金を払わずに逃げちゃうかもしれないから、絶対にお金を受け取るまで渡さない。でも日本は、必ずお客さんはお金を払ってくれるんです(笑)。そういう日常の小さなことの積み重ねが、日本の空気になっている。その中にいると安心だし、安全だって感じるんです。日本にいて、ＭＩＺＭＯのメンバーになれたのは、私の運命だと思っています」