主旋律を歌うメインヴォーカル・AKANEは、絶好の環境で生まれ育った。彼女の母方の祖父母が、和歌山の地元でカラオケスタジオを経営していたのだ。子どもの頃からお客さんたちが演歌を歌うのを聴いて育ち、やがてお客さんたちの前で彼女自身が歌うようになる。小学校4年からは、カラオケ教室にも通うようになった。そして高校2年生のときとうとう、NHKのど自慢のチャンピオンになる。
「それまでは皆が喜んでくれるから歌っていたんですけど、全国大会の舞台に立ったときに初めて、『歌手になりたい!』って思いました。『もう、歌手になるしかない!』って」
 だけどプロの歌手になるのは、当然ながら、簡単じゃない。
「1度や2度チャンピオンになったからって、上手い人はもっといっぱいいるんです。同世代にはあちこちの大会でチャンピオンになっている〝大会荒らし〟の人もいて、私はいつも二位とか三位。だから短大に行って、保育士の資格も取りました」
 やがて水森氏の門下生となり、1年経ったころ、MIZMOのメンバーに選ばれた。
「朝7時に電話をいただいて、先生のご自宅に呼ばれたので、とうとうクビなのかなって覚悟を決めました。で、行ってみたらMIZMOのメンバーがひとり卒業するから、そのピンチヒッターに、というお話だったんです」
 いわばトライアル。そこで彼女の実力が証明されて、メンバーチェンジを経て主旋律を任されるようになったというわけ。彼女が中心のMIZMOの歌声は、パワフルで伸びやかでつややか、極上のハーモニーだ。
コーラスグループならではの醍醐味も、最近感じるようになってきた。
「息が合ってシンクロしたときの気持ち良さは、最高です。気持ちがひとつになっていると、息づかいや呼吸の間合いもピタッとハマる。集中力が高まれば高まるほど、シンクロ率が高いです。これからMIZMOは、どんどん良くなると思います!」
 女子が3人、それぞれの個性もあるから、ピタッと合わせるのは難しそうだけど。
「ここに来るまでの境遇がそれぞれ違うから、バランスが取れているんだと思います。私みたいなのが3人だったら、多分まとまらないと思う(笑)。ふたりはそれぞれのパートを本当に理解してくれているから、私が気持ち良く歌えるんです」

  • 出演 :水雲 MIZMO  みずも

    本格派演歌ガールズグループ。三声のハーモニーで演歌の新しい境地に挑戦する。
    メンバーは演歌・歌謡界の異才、作曲家水森英夫氏の門下で武蔵野音楽大学声楽科出身のNAO、NHKの歌番組でチャンピオンになり、水森氏にスカウトされたAKANE、アメリカ出身、日本のアニメ専門学校在学中に水森氏の目にとまったNEKO。2017年9月6日『帯屋町ブルース』でメジャーデビューを果たした。
    MIZMO 公式サイト http://www.mitsui-ag.com/mizmo/

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/