眼光鋭いこの男は、山内圭哉。NHKの朝ドラ『あさが来た』を見ていた人なら、話が早い。そう、あの加野屋の大番頭・雁助だ。他にも民放で『民王』の新田とか『HOPE~期待ゼロの新入社員~』の安芸とか、どんな役でもくっきりと印象に残る、鮮烈な存在感を持っている。
 もともとは児童劇団出身。中島らも主催の劇団『リリパットアーミー』の中心メンバーとして活躍した後も、あっちこっちから出演依頼が殺到し、忙しい日々を送ってきた。
「演劇に関しては、下品で偏差値が低いもののほうが普遍的に面白いやろと思ってますね。関西出身ていうのもあるのか、なんぼ洗練されたものより、屁こいてウンコ出てもうた、って言ってる人見るほうがおもろいし、ふつうに笑うてまう。20年くらい前から東京の仕事が増えて、〝お芸術〟みたいな舞台を観ることも出ることもありますけど、アタマのエエ人がやってはることと対極にあるもの、身体的なことで笑えるようなものも必要やないかと思います。そういう下品なことをどんだけ不快感なく伝えていけるのか、ゲラゲラ笑える演目ないやろか、と、昔はよく考えてました」
 徐々に知名度もあがり、舞台だけでなくテレビドラマや映画へのオファーも増えた。でもそんな今だからこそ彼には、『新ロイヤル大衆舎』という一見無謀な試みが必要だったようだ。
「ありがたいです、仕事のオファーが増えたのはね。でも今は大事にされすぎて、楽屋も個室なんか用意していただいたりして、居心地が悪いというか。芝居にあまり文句も言われなくなって、何をやってもそれで結構です、なんて言われてばかりだとね(笑)。だとしたら、自分らで興行を打てる機会があったら、もっと濃く、いろんなことを、いろんな負荷かけてやらな。理想を掲げて、エンタテイメントをとしてどこまで成立させることができるか、ということに、エネルギー使ってみたいと思うんです。今回の『王将』も、客席数80っていうことは、ごっつい細かい芝居も伝わるってことですよね、まゆ毛片方上げるだけでも。これがまた楽しみなんですよ」
 役者だけでなく、ミュージシャンとしても長年活動してきた。動画をチェックしたら、歌う姿が超カッコいい。その才能を買われて、『王将』公演では音楽も担当する。
「『王将』ですからね、自分好みにひずんだギター鳴らしてもイヤらしくなると思うんで、古賀メロディっぽいのを作ろうと思って、大堀さんにクラシックギターを借りました。新ロイヤル大衆舎の舎歌も作ろうかって話になっているんですよ」
 コワモテ? と思っていたけど、実はとても優しくて話し上手。他の3人に人柄を聞くと、『魂が大人』(大堀)『頼れる』(福田)『信頼できる同志』(長塚)と、面倒見の良いお兄さんキャラみたい。撮影は行きつけの場所ということで、萩庭氏と居酒屋へ。もちろんこの写真を撮った後、延々と飲み続けたらしい。

  • 出演: 山内圭哉(やまうち たかや)1971年生まれ 大阪府出身

    ホームページ  http://search.yoshimoto.co.jp/actor_prf/details.html?id=3124

    公演情報 :『王将』

    作/北條秀司 構成台本+演出/長塚圭史 音楽/山内圭哉 2017年4月27日(木)~5月14日(日) 下北沢『小劇場 楽園』にて 3部作(1部13st/2部11st/3部11st 計35ステージ)チケット一般発売2月25日(土)10:00~
    問い合わせ先 : 新ロイヤル大衆舎   http://shinroyal.com/

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/