#2 〈ミュージシャン兼サラリーマン〉時代も
永田ジョージ
- Magazine ID: 3401
- Posted: 2016.11.01
永田ジョージには、少々変わった経歴がある。4年半前まで、彼は外資系企業でサラリーマンも、していたのだ。大学に在学中からピアニストとして演奏活動をしていたが、卒業後にいったん就職。システムエンジニアやコンサルタント、営業の仕事もしながら、ミュージシャンとしてライブに出演。10年ほど前にはMBA取得のためカリフォルニアに渡ったが、その時も彼の地では唯一の日本人ピアニストとして、さまざまなミュージシャンと演奏する機会を持ったという。そして、
「また東京に戻ってきてサラリーマンとして働いているうちに、だんだん、自分が音楽に近づいて行っているのを感じたんです。音楽を仕事としてやっていくには3つの条件が必要で、まずは演奏できる場所を確保すること、聴いてくれるお客さんがいること、そして、仲間のミュージシャンがいること。その3つが揃っていれば、ミュージシャンとして、パフォーマーとしてやっていけるんです。僕は音楽と会社を両方やっているうちに、聴いてくれるお客さんも、演奏してくれと言ってくれる店も、一緒に演奏しようぜって声をかけてくれるミュージシャン仲間も揃ってきた。これならやれる、と、気持ちが定まったんです。もともと大学時代から、ジャズピアニストになりたいと思っていたので」
脱サラというよりも、大きく迂回しながら、本来行くべきミュージシャンの道に戻ったようなもの。そしてその回り道は、けして無駄ではなかったようだ。
「そうですね、いや、本当に、後悔していることはひとつもない。ミュージシャンというのは、言葉のない世界で生きているんです。だって言語の代わりに音を出すのがミュージシャンなんですから。でも会社というのは、言語と数字の世界。コミュニケーションもプレゼンも、説明しなきゃわからないのがビジネスです。僕は幸い両方やってきたので、自分の音楽や活動を言葉で説明することが苦ではありません。だからお客さんに音楽だけでなく、言語でも世界観を伝えることが好きで、ライブでは演奏よりも合間のおしゃべりがついつい多くなってしまうくらい(笑)。僕の仕事は生の演奏を聴いてもらうことですが、ライブに足を運んでもらうための初回のハードルを低くするために、出会いのタイミングで説明を尽くすことは大事だと思っています」
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出演:永田ジョージ(ながた じょーじ)
1976年フロリダ州に生まれ、日本・英国・米国の3カ国で過ごし18歳で帰国。クラシックピアノを4歳から始め、大学在学中からジャズピアニストとしての演奏活動を開始。卒業後は外資系IT企業に勤めながらライブを継続。2005年カリフォルニア州サンディエゴに2年間留学し、現地で唯一の日本人ピアニストとして活躍。2007年帰国後、東京での演奏活動を再開し、ジャズ、ボサノバ、ポップスと多ジャンルに渡るアーティストたちとのパフォーマンスを重ねた。2012年6月独立。独自の切り口でのジャズ&ブラジリアンをベースとしたアルバムをリリースしつつ、ライブペインティング、華道、演劇、舞踏、ファッションショーなど音楽以外の表現者とも積極的にコラボレーションを行っている。
オフィシャルサイト http://www.groovepockets.com/
“Shade” 発売中 (2016年6月1日発売) CD 2,000+税 GPME-0005 https://www.youtube.com/watch?v=hmqU8sUFWck
【”Shade of Autumn” 永田ジョージ Solo Session】
カリフォルニアでレコーディングしたソロアルバム”Shade”リリース後、ヨーロッパを旅して新たな音色を。神楽坂の名店The Gleeの艶っぽいスタインウェイピアノで、秋を感じる名曲をお届けします。 11月5日(Saturday) 13:00 at The Glee
電話予約 03(5261)3124 ネット予約 http://theglee.jp/【Vocal Crossing-Route14-】
2012年初夏からの定期開催イベント。澤田かおり、ギラ・ジルカ、伊藤大輔、3人のヴォーカリストの声を、ピアノと共に永田ジョージがサポートする。12月13日(Tuesday)at JZ Brat
電話予約03(5728)0168(平日15:00~21:00)
ネット予約 https://www.jzbrat.com/reserve/撮影協力
池坊東京会館 http://www.ikenobo.jp/tokyokaikan/access.html
JZ Bratオフィシャルサイト https://www.jzbrat.com/
The Gleeオフィシャルサイト http://theglee.jp/
取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/