魚住誠一さんは恵比寿の行きつけのカフェで話をしてくれた。アンティークの椅子が置いてあるファンシーな店だ。魚住さんは安西肇にも似ているが、甲斐よしひろにも似ている。でもこのファンシーなカフェがお気に入りだという。人は見かけによらないものだ。

「ぼくはね、ずっと音楽をやってたから。音楽をやってる人たちにとってフジロックとか、夏フェスってすごくわくわくするじゃない? そういうことを写真を撮る人たちにも味わってもらえたら面白いなあと思ったんです」

 常任でプロのフォトグラファーが6、7人出展する。加えて彼らがアマチュアをオーディションし、そこで選ばれた人たちが出展する。面白いのは、一度選ばれた人たちはOBとして、また出展することができるというところである。

「今年は130人のエントリーの中から20人が選ばれ、OBを加えて60人以上の人が出展する大所帯になります」

 このオーディションがほかの写真展と違うのは、作品だけで評価をしないということらしい。

「1人15分~30分くらいプレゼンテーションしてもらって、人柄を見るんですよ。どういう気持ちでどんなことを表現したくて写真を撮るのか。『この人、面白いなあ』『友達になれそうだな』っていうところも選考基準になってるんです」

 魚住さんは東京以外からの参加者も歓迎し続けてきた。今年は台湾でもオーディションを行った。

「台湾は経済も文化もシステムが違うから、2年間下準備して今年初めてオーディションした。実際、来てくれたのは10名足らずでしたけど、こちらはおいおい浸透していけばいいなと思っています。とにかく、夏フェスだから」

 今年の開催は渋谷ルデコギャラリーで7月31日~8月4日まで。11~22時、入場無料。最終日以外は連日19時~22時まで1階で常任カメラマンとゲストによる写真談義トークショーを開催するという。

「森さんも来てなんかやってよ」

 魚住さん、おっしゃいましたね。じゃ「萩庭桂太のYOUR EYES ONLY裏話」の日でも作ってもらいますかね。

  • 出演:熊谷優花

    1988年、福岡生まれ。08年、香蘭女子短期大学被服学科に入学、染色を専攻するが、写真を志し、09年に日本写真映像専門学校に入学。APAアワード2011 社会法人日本広告写真家協会公募展 写真作品部門 学生賞など受賞歴多数。秋葉原のカフェで働きながら、東京で撮影活動中。

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

協力:ポートレート専科 http://portraitsenka.jp/
撮影:萩庭桂太