個人的なインタビューの時間はなかったが「囲み」と呼ばれる共同インタビューの時間が用意されていた。彼女は、どの質問にも臆せず丁寧に答えていった。

――いよいよ日本でのデビュー曲『Good Day』が3月21日に発売されますね。この曲を日本語で歌ったことについてお願いします。

「日本語は個人的に先生について一生懸命学びました。言葉のどこにアクセントを置けばどう伝わるか。そこまで教えてもらいました。韓国版の『Good Day』は別れの日のことを反語的に歌っているのですが、日本語の歌詞は、告白するなら今日しかない、それなのに、それができなくて、というストーリーになっています」。

――あなたはこの歌の詞に出てくる「オッパー」という言葉が好きだと聴いていますが、どういう意味の言葉なのですか。

「オッパー」とは韓国語で「お兄ちゃん」というような言葉で、実際の兄のほかに兄と呼びたい人や恋人にも使うことがあります。 私はずっと、実のお兄ちゃんがいるといいなあと思っていました。だからオッパーという言葉をこの歌でいっぱい使いたかった。響きもいいですし。韓国でこの曲が受けたのも、この言葉が詞に入っていたからかもしれません。私自身、もし恋人ができるなら、同い年や年下よりも少し年上がいいな。そしてオッパーと呼びたいんです」

――日本でどんなふうに活動していきたいですか。「韓国の妹」と言われているそうですが「日本の妹」にもなるのでしょうか。

「私のステージは歌が中心。いろんな気持ち、いろんな感情を歌で伝えられる歌手になりたい。『日本の妹になれるか』というご質問ですが、そのためには日本語をもっと勉強し、努力して、そうなれるよう努力したいですね」

 堂々と踊り、歌う。韓国での彼女の人気の理由は、歌えること、ギターが弾けること、演技ができること、そつなく楽しいトークができること。要するに、芸能人としてマチュアである、ということなのだという。韓国の18歳の少女の、才能を磨く集中力と、中学1年生から20回以上オーディションに落ちても諦めなかったというまっすぐな気持ちに、心が動かされる。

(取材・文:森 綾)

  • 出演:IU (アイユー)

    本名はイジウン(Lee Jieun)。1993年5月16日生まれの18歳。身長164cm。IUという名前には「I&YOU」、私とあなたが音楽でひとつになるという意味が込められている。中学3年生だった2008年にミニアルバム「LOST&FOUND」でデビュー、その圧倒的な歌唱力とキュートなビジュアルから「国民の妹」と称され、男女・世代を問わず愛されている。これまでに2枚のフルアルバムと4枚のミニアルバム、4曲のデジタルシングルをリリース。2010年12月発売の「Good Day」(Album「REAL」収録)は、チャート1位を5週連続記録し、トップ・ソロアーティストとして不動のポジションを誇る。2011年12月14日アルバム「I□U」(アイユー)<ライセンス盤>発売。(オリコンウィークリーチャート15位!!)。そしてこの3月21日、日本でのデビュー・シングル「Good Day」がリリースされる。

    IU PC OFFICIAL SITE http://iloveiu.jp
    IU MOBILE OFFICIAL SITE http://iu-net.jp
    EMI IU ARTIST SITE http://www.emimusic.jp/artist/iu/

  • 取材・文:森綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクション『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)など多数。
    映画『音楽人』(主演・桐谷美玲、佐野和眞)の原作となったケータイ小説『音楽人1988』も執筆するほか、現在ヒット中の『ボーダーを着る女は95%モテない』(著者ゲッターズ飯田、マガジンハウス)など構成した有名人本の発売部数は累計100万部以上。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太