清貴は今、日本中を駆け巡っている。シンガーとしての活動は続けながらその一方で、福岡、鹿児島、名古屋、大阪、仙台、東京の各地でゴスペル・クアイア(合唱団)『SING FOR JOY』を結成し、指導しているのだ。
「僕のファンの方、ホームページやSNSを見て〝歌いたい!〟という方が集まってくれて、一緒に歌っています。歌唱力のレベルはバラバラで、歌に自信のある方もいれば、まったく歌ったことのない主婦の方も、親子3代で来て下さっている方もいます。僕、歌詞も譜面も何も使わないで指導しています。リズムで覚えていくんです。アメリカでゴスペルを歌っていたとき、みんなそうやって歌を覚えていました。こう、手拍子を打ちながら、ワンフレーズずつ口移しで歌って、覚えるんです。マッスルメモリーって僕は言っているんですけど、口まわりの、顔の筋肉が歌を覚えていくような感覚です。そうするとメロディにのせたとき、すんなり歌えちゃうんですよ。みなさん2時間もあれば初見の曲でも歌えるようになります」
 なんだかちょっと、楽しそう。
「アメリカの教会でゴスペルを歌っていたときに、思いました。これは〈心の浄化〉なんだなって。1週間、仕事とかいろんなことでストレスが貯まって、自分の中にモヤモヤしたものがある。それを週末、教会に行って大声で歌うことで、全部浄化できるんですよ。だからみんな歌いながら泣いたり、叫んだりして、解放されていく。音楽にはこういう作用もあるんだなって、大きな発見でした。それにみんなで一緒に歌うことによって、そのパワーは無限大に広がっていきます。ひとりで歌うより、みんなでシェアしたほうが楽しいじゃん、というところから、この『SING FOR JOY』は始まったんです」
 その、教会で、というところに、ちょっとひっかかる。キリスト教の信者じゃなくてもクリスマスは楽しめるのだから、ゴスペルを歌うことだって問題ないとは思うけど。やはり宗教、からみますか?
「それは僕もアメリカですごく悩んだところです。宗教的な価値観の中には、僕の中にも、受けいれられない部分があります。たとえば同性愛に関することとか。でも、教会で歌いたい、という思いもあって、せめぎ合いがありました。で、ある時、教会の人に相談したんです。すると、『いいんだよ、キヨはキヨが信じるものを胸の中に秘めて歌っていれば、それでいいんだ』って。『歌詞にゴッドという単語が出てきても、それはジーザスクライストじゃなくても、あなたの信じるものでいいんだ』って。でも厳密に言えば、僕のやっていることは、ゴスペルスタイルの合唱団、かもしれませんね(笑)」
 一緒に歌っていると、自分はハッピー、みんなもハッピー。福祉施設に行って歌ったり、お祭りに招かれて歌を披露することもあるという。
「みなさんと直接会って、一緒に歌って、感動を共有できるのがすごくうれしいし、やり甲斐を感じています。もう、ライフワークにしようと思っています。だから最近自分のこと、〈歌の伝道師〉って名乗っています(笑)」
 清貴が伝えているのは、歌だけではない。歌うことの素晴らしさだ。
「そしてメッセージも、僕の曲に込めたメッセージも、伝えていきたいです」
 どんなメッセージなのか? 明日以降のYEOを、お楽しみに!