30代なかば、秋本祐希は活躍の場を『VERY』から『STORY』へと移した。30代女性をメインターゲットとする雑誌から、アラフォー向けの、さらに大人の女性誌へと移行したのだ。
 大昔、昭和の頃は、モデルと言えば、30歳になるまでにリタイアするのが当たり前。頑張って続けていてもオバハン呼ばわりされた時代もあったのに。マス・メディアであった女性誌がそのターゲットをどんどん上の世代にシフトしていったと同時に、求められるモデル像もどんどん大人になっていった。
「私たちも本当は卒業しなければいけなかったところが、雑誌が次々と30代向け、40代向け、50代向けというふうに出来ていったので、行き先ができたというか。ありがたいですよね(笑)」
 年齢だけでなく、モデルに求められる要素も変化した。以前は服を着るだけ、人格も個性も消すのがモデルの仕事だったけれど、今はモデル個人のキャラクターが重要視される。
「子育てしながら仕事をしている、という部分で、皆さんが共感してくださるんです。ファミリー感、生活感があることは、けしてマイナスにはならないんですね。モデルである私たちにも読者の方たちと同じような悩みがあり、同じような暮らしがある。ふつうにみんな、子育てしている。そういうのを誌面やSNSで見てくださっているんです。私たちは一見華やかに見えるけど、家に帰ったら同じようなことをやっている、一緒ですよって(笑)」