プロへの道は6年前の2013年、友人の紹介から始まった。
「仲のいい女友だちがハワイの『グリーンルーム』というギャラリーのオーナーさんとお知り合いで、その方とたまたまお目にかかったとき、私がチョーク・アートをやっていると話したら、興味を持ってくれたんです。〝イベントがあるから出品してみたら?〟と勧められて、数点持ち込みました。自分の知らない人が私の絵を見てくれる、ということにドキドキしましたし、しかも絵に値段がついて、出展したほとんどの絵がその場で売れたんです! そこから私、意識を変えて、プロフェッショナルにやっていこう、と決めました」
 プロになる、そのスイッチはMoecoの何を変えたんだろう?
「ボードに向かうときのマインドが変わりました。プロには納期があるんです。日によって描きたい日もあれば、描きたくない日もある、描いてもうまくいかない時もある。でもプロなら納期までにちゃんとしたクオリティで仕上げなきゃいけないし、作品の仕上がりにムラがあってはいけないし。仕事の時は、ワガママな自分やずるい自分は封印します」
  題材やディテールによって多少の差はあるけれど、ひとつの作品を仕上げるには、一辺が30センチの正方形くらいの大きさで、数時間の集中を必要とする。
「大きい絵を何日間も描いていると、指先の皮膚が薄くなってきて、朝起きるとヒリヒリ、痛いこともあります。でも指先って大事なパーツだからなのか、回復するのも異常に早いですね。それに私はいつもネイルをしているので、〝そんな爪でよく描けるね!〟って言われますけど(笑)、使うのは指の腹の部分ですし、慣れているので、全然問題ありません」