現在32歳。にしては藤井道人、肝が座っている。昨年はある作品を撮影中、出演者が逮捕されるという非常事態に遭遇したが、製作を諦めることなく撮り直しを敢行、公開にこぎつけた。そのメンタルの強さは、子どもの頃から高校生まで続けていた剣道によって培ったものだという。
「剣道は受け身の極みですから(笑)。剣道をやっていなかったら、こんなに胆力はつかなかったと思います。3歳から剣道を始め、小・中学校の頃は東京の修道館に在籍していました。団体戦ではずっと先鋒でしたし、高校2年で関東大会に出場しています。1年のうち360日は剣道をしているような生活でした。何がきても、恐れることはたぶん、ない。何があっても逃げ出すという選択肢はほぼありません。そのオフェンス姿勢があるから、今の自分があるのかなって」
 では仕事以外の日常生活も、規律正しくストイックに?
「いや、それが、ダメですね(笑)。父となった今も、家事も出来ない、料理もできない。奧さんがいないとき、洗濯しようと思ったんですけど、洗濯機の使い方がわからない。どのボタンを押しても水が出てこなくて、困ったなと思って奧さんに電話したら、蛇口をひねっていなかったという(笑)。あと、〝なんで電気を消さないの?〟ってよく言われるんです。たしかに、と思うけど、でも、消せない。ごろん、と横になってから、あ、電気消してない、と思うんですけど、動くか動かないか、すごく葛藤します、そこで。やろうと思うけどできない、っていう・・・・・」
 そういえば『デイアンドナイト』は人間の善と悪、二面性をテーマにしているとか。藤井道人のオンとオフもまた、類い希なる二面性を秘めているのであった。

  • 出演 :藤井道人  ふじい・みちひと

    1986年生まれ。東京都出身。映像作家、映画監督、脚本家。BABEL LABELを映像作家の志真健太郎と共に設立。日本大学芸術学部映画学科脚本コース卒業。脚本家の青木研次に師事。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』でデビュー。以降、『7s/セブンス』などの作品を発表する一方で湊かなえ原作ドラマ『望郷』、ポケットモンスター、アメリカンエキスプレスなど広告作品も手がける。2017年Netflixオリジナル作品『野武士のグルメ』や『100万円の女たち』などを発表。2018年、『青の帰り道』公開中。2019年『デイアンドナイト』『新聞記者』の公開が控える。

    公式HP http://babel-pro.com/about/

  • 【作品情報】
    『デイアンドナイト』
    企画・主演 阿部進之介 監督・藤井道人 プロデューサー・山田孝之
    父が自殺し、その原因を探るうちに復讐へと駆りたてられる明石。その彼に手を差し伸べる北村には、児童養護施設を運営して孤児たちを救う反面、犯罪に手を染める顔もあった。やがて父を自殺に追い込んだ大企業の社員・三宅に明石は対峙するが・・・・。完全オリジナル脚本で〈人間の善と悪〉をテーマに、混沌とした現代で強く生きることの厳しさを描き出す。2019年1月26日全国公開、1月19日秋田県先行公開。

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/