現在、東京・日本橋三越で開催中の『小松美羽展』は連日盛況。日本国内のみならず、シンガポール、台湾、香港、北京や上海からも熱烈なファンやコレクターが駆けつけ、2日目にはほぼ完売したという。すっごい金額になったそうだけど、小松美羽自身はそんなことはどこ吹く風。お歳暮で事務所に送られてきたミカンをおいしそうに食べながら、インタビューに答えている。これからも、絵を描くことしか頭にないみたい。
「あ、絵だけじゃなくて立体も。FRP(繊維強化プラスチック)を使った立体作品を今年から作るようになりました。そういうのって素材費がかかるんですけど、そういうところにお金をかけられるようになったのは、うれしいです」
 そして、これからは?
「VRにも挑戦します。今みんな、スマホとかタブレットを見てますけど、そういう、絵とかアート作品は苦手という人にも、体感性のある作品でアピールできるかな、と思います。来年は、ヴェネツィア国際映画祭VR部門にも出す予定なんで、楽しみなんです」
 絵画にしても立体にしてもVRにしても、作ると決め、作りたいものがある。それを待っている人たちもいる。それがアーティストにとってはすべて、なのかもしれない。
「何があろうと私は筆を折らないと決めていますし、神獣というものから絶対外れないと思います。そしてこの先、私がやりたいと思うのは、もっとこう、狛犬みたいなもの。昔から神社に置かれていた狛犬は、パブリックアートに近いものだと思うんですけど、そういう、人が集まって何かことを為す場所に存在する立体作品を作りたい。空港とか、いろいろな文化の出入り口に私の作品が置かれたら、それはすごくうれしいですね」
 羽田空港や成田空港の入り口に、小松美羽作の狛犬たち。なんか、実現しそうな気がする。
 小松美羽が生み出すスピリットたちは、アジア圏にとどまらず、世界中に繁殖していくに違いない。

  • 出演 :小松美羽  こまつ みわ

    1984年11月29日長野県坂城町出身。女子美術大学短期大学在学中に銅版画作品の制作を開始。20歳の頃の作品『四十九日』が高く評価される。近年はアクリル画、有田焼などに制作領域を拡大し、神獣などをテーマに精力的に創作に打ち込む。2014年庭園デザイナー石原和幸氏と共作でロンドン「チェルシーフラワーショー」へ有田焼の狛犬作品を出品、ゴールドメダルを受賞した庭園「江戸の庭」の守護神として置かれた「天地の守護獣」が大英博物館へ収蔵された。ワールドトレード・センター(ニューヨーク)への常設展示、台湾・香港での個展、シンガポール、ダラスでライブ・ペイントを行うなど、多方面で国際的に活躍している。

  • (株)風土 HP・http://miwa-komatsu.jp/

  •  【画集】
    4年振り2冊目の画集が発売。12月5日より日本橋三越で先行販売。12月17日より書店、アマゾンで発売予定。現在予約可能 http://www.kyuryudo.co.jp/shopdetail/000000001537/

    【展覧会情報】
    『小松美羽展 大和力を、世界へ』
    2018年12月5日(水)~16日(日)午前10時~午後7時 ※最終日は午後6時閉場 
    日本橋三越本店 新館7階 催物会場
    小松美羽サイン会/12月8日(土)9日(日)15日(土)16日(日)各日午前11時~(限定100名)会場内にて。

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/