#3 私の絵は、スピリットの棲み家
小松美羽
- Magazine ID: 3807
- Posted: 2018.12.05
小柄でスリム、というより、華奢という言葉を使いたくなる、ガラス細工のような女子。だけど弱々しさは皆無で、エネルギーに満ちている。昨日の山犬の話を聞くと、ちょっと不思議少女の趣きもあるけれど。
「ね、ちょっとオカルトちっくになってしまいますよね(笑)。でも最近思っているのは、そういう純粋さを追い求めていくために、私は生まれてきたのかなって。長野県の坂城町という山あいの町に生まれて、木がいっぱいある、どこか空気が違う場所に生まれたのは私の運命だし、絵を描きたくて描きたくて、そして神獣を描くことを選択したのも私だし」
ターニングポイントは、30歳の頃。スピリットの世界を描いていく、と心を決めた。
「人間の歴史は、闘いの繰り返しですよね。でもそんな中でもアートは廃れなかった。音楽も絵画も含めてアートが消えてしまわなかったのは、それが魂の薬だったから。衣食住と薬、それがなければ人間は生きることができなかったからだと思うんです。私はそのアートの力で、人間を守ってくれる、目に見えないモノを描いていきたい。私の作品で、目に見えないモノに対する畏敬の念を、人々に伝えたい。
ちょうどその頃、ニューヨークで展覧会をしたときにも、そういう感性が求められていることはひしひしと感じました。物質的に豊かな暮らしをしていても、それだけでは人間は満たされない。本当の意味で原点回帰していく時期が、来ているのかなって。
大昔、人間が最初に描いた壁画は、自然への畏れや敬意を描いたものだと思うんです。私の絵も、それに近いものだと思っています」
彼女の絵のファンは、年齢・性別・国籍を超えてさまざま。メジャーになる前は〝不気味だ〟とか〝気持ち悪い〟とか言われた画風は、今や異次元の真実を描くものとして、幅広く支持されている。
「絵を買って下さった方の中には、絵の前にお水を置いてくださったり、まるで神棚みたいに設えてくださる人もいて、それはちょっとやり過ぎ? って思うんですけど(笑)。でも、私が描いているのは、私の瞑想に出てくるスピリットな存在なので、私の絵がその子たちの棲み家になればいいなって(笑)。その絵をアンテナにして、人間界と繋がるひとつの媒体になって欲しい、という想いで描いています」
ひとつ、書き添えておくと、特定の宗教とは一切関係ない。
「どの宗教も魂の薬のひとつ、と思っています。そしてすべての神事はひとつにまとまる、
そう思っているんです」
小松美羽に絵を描かせているのは、宗教が生まれる以前の、何かを畏敬する気持ち、そのものなのだ。
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出演 :小松美羽 こまつ みわ
1984年11月29日長野県坂城町出身。女子美術大学短期大学在学中に銅版画作品の制作を開始。20歳の頃の作品『四十九日』が高く評価される。近年はアクリル画、有田焼などに制作領域を拡大し、神獣などをテーマに精力的に創作に打ち込む。2014年庭園デザイナー石原和幸氏と共作でロンドン「チェルシーフラワーショー」へ有田焼の狛犬作品を出品、ゴールドメダルを受賞した庭園「江戸の庭」の守護神として置かれた「天地の守護獣」が大英博物館へ収蔵された。ワールドトレード・センター(ニューヨーク)への常設展示、台湾・香港での個展、シンガポール、ダラスでライブ・ペイントを行うなど、多方面で国際的に活躍している。
(株)風土 HP・http://miwa-komatsu.jp/
【画集】
4年振り2冊目の画集が発売。12月5日より日本橋三越で先行販売。12月17日より書店、アマゾンで発売予定。現在予約可能 http://www.kyuryudo.co.jp/shopdetail/000000001537/【展覧会情報】
『小松美羽展 大和力を、世界へ』
2018年12月5日(水)~16日(日)午前10時~午後7時 ※最終日は午後6時閉場
日本橋三越本店 新館7階 催物会場
小松美羽サイン会/12月8日(土)9日(日)15日(土)16日(日)各日午前11時~(限定100名)会場内にて。YEOからお知らせ:YEO専用アプリ
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取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/