読者モデルへの挑戦は、高校生の頃から始まっていた。
「すぐにいきなりモデルなんてできるはずないから、どうしようと思ったら、身近なところにすぐできるモデル業を見つけました。ヘアサロンの、サロンモデルです。とりあえず撮ってもらう練習をしておけば、写真に撮られ慣れることができると思ったんです。最初は交通費も出ないところから始めて、そのうち交通費がでるようになって、報酬もいただけるようになって、だんだん出世しました(笑)。バストアップの写真ばかりですけど、クールな表情とか笑顔とか、練習を積みました」
　ミスコンに出る前は、下調べに時間をかけた。
「ミスコン受賞者をネットで調べて、全然知らない人でもツィッターで連絡して、いろいろ教えてもらいました。〝すごく可愛いんですけど、どうやってそうなったんですか？〟ってめっちゃ聞き込みしたりして。メイクとかヘアスタイルとか、何を着て出場すれば入賞する確率が高いか、集中して研究しました」
　大学に入って２ヶ月後、最初のミスコンに出場。それから２年間で、６つのコンテストに挑戦した。そのうち３つがグランプリ。あとはファイナリストと特別賞。すごい確率だ。
　さらに、たまたまファッション誌『Ｒａｙ』の読者モデルのオーディションがあることを知り、すかさず応募した。
「けっこう書類とか面接とか実技とかカメラテストとかＷＥＢ投票とか、何度も審査がありました。いろんな大学のミスコンに出ている有名な先輩たちが応募していて、私なんかまだ１年生で無名だったので、どこかで落ちるだろうと思っていたのに意外と通っちゃって。読者モデルになれたんですよ！　すごいびっくりでした(笑)」
　大学４年間で到達しようと思っていた３つの目標のうち、ミスコンと読モをあっという間にクリア。でも、そこで満足してしまうような伊藤奈月ではなかった。