ジャズ・ミュージシャン、程嶋日奈子。彼女が演奏するのはコントラバスだ。楽器の中でもとりわけデカい、バイオリンを2メートル大に引き延ばしたようなあの楽器が、身長152センチの彼女の相棒だ。
「まさか毎日この大きな楽器を運ぶ羽目になろうとは(笑)、夢にも思いませんでした。子どもの頃からピアノを弾いていて、高校に入るときにもうひとつ別の楽器を習おうと思って選んだのがコントラバスなんです。大学に入っていざジャズをやろうという時にも、父の先輩のドラマーさんが〝コントラバスを弾ける女の子は少ないから、絶対売れるよ。ビジュアル的に変だから面白いし〟と勧めてくれました。小柄な私がステージに出て行って、この大きな楽器をガン、と弾くと、けっこうみんなにビックリされる。それがまた楽しいんですよね(笑)」
 今週は、この程嶋日奈子のものがたり。今はプロのミュージシャンとして人一倍精力的に活動している彼女だけれど、まるでピンボールみたいに、想定外の出来事に次々とはね返され、進路変更を重ねた結果が今、なのだ。さらに昨年、思いがけない病気(ラムゼイ・ハント症候群)になって、そこから学ぶことも多かったとか。(ちなみに、YEOを主宰するカメラマン萩庭桂太氏も、同じ病気と闘う仲間のひとり)
 大変な楽器をマスターすると、その人自身も大きく成長する。大変なトラブルを乗り越えると、その人自身も大きく変わる。現在、程嶋日奈子の人生はさまざまなコード進行を経て、クライマックスに向かって絶賛演奏中だ。
 YEOは今週金曜日まで連日更新して、彼女のBASSを追いかけます!

  • 出演 :程嶋日奈子 ほどしま ひなこ

    1982年、神奈川県藤沢市生まれ。4歳からピアノを、15歳からクラシックコントラバスを学び、早稲田大学モダンジャズ研究会に加入。大学卒業後、外資系コンサルティングファームで3年働いた後、退職。ジャズベーシストとして活動を開始した。ジャズビッグバンド・コンボはもちろん、クラシックやポップスなどジャンルを問わず多くのシーンで活躍中。

    HP http://www.hinabass.com/

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/