病気は、彼女の美貌を奪わなかった。抗がん剤で髪が抜け、一時はスキンヘッドにもなったけど、髪はまた生えてきた。
「闘病中も、『ウィッグつければ出られるんじゃない?』って言って下さるクライアントさんもいて、私用にウィッグを作ってくださったり。恵まれていたと思います。私自身、心のどこかに〝絶対復帰する〟〝前と同じ状態で戻ってきてやる〟という気持ち、モチベーションが途切れませんでした。ずっとストレッチも続けていました」
 その一方で、大きな変化もあった。
「若い頃は、イケイケゴーゴーで、怖い物なし。この世は自分を中心に回っている、そんなふうに思っていた時期も、正直ありました。あれもやりたい、これもやりたいって、欲張りだったと思います。でも今は、自分に合った仕事をひとつひとつていねいにしていきたい。それは仕事だけじゃないんです。日々の生活も、毎日ていねいに、大事に過ごしたいって強く感じます。朝起きると、『今日も元気で1日過ごせますように』、夜寝る前は『今日も1日ありがとうございます』って、口に出して言います。嫌なことがあっても〝それがあっての自分なんだ〟〝そのための今日だったんだ〟って。病気して、大変だったねってよく言われるんですけど、もちろん大変だったんですけど、いろんなことを病気から学んだので、私、むしろ感謝しているんですよね。少しは、いえ、だいぶ、人として柔らかくなったんじゃないかな。いろんな挫折を味わうって、ほんと、大事です(笑)」

  • 出演 :園田マイコ  そのだ まいこ

    1969年生まれ、高校を卒業後、モデルとして活動を開始。クロエ、FENDI、ジャンポールノットなど数多くの有名ブランドのファッションショーに出演。光文社「HERS」マガジンハウス「クロワッサン」他多数のファッション誌、CM、広告、TVなどで幅広く活躍してきた。

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/