原宿でスカウトされたのが3年前の3月末、ご両親の了解を得て事務所所属になったのが4月末。その3ヶ月後の7月末、マネジャーはあるCMのオーディションリストに、彼女の写真を潜り込ませた。例の、事務所で撮ったスナップ写真だ。
 ダメモトで送ったその写真が担当者の目に止まり、2次審査へ。中学生だった駒井蓮は生まれて初めて、たったひとりで東北新幹線に乗り、母親から借りた携帯電話を握りしめてオーディション会場に向かったという。まだ何のレッスンも受けていないズブの素人だったが、「泣いてみて」というオーダーにもなんとか応えた。
結果が出るまで、それから約10日。家族揃って夕食中、1本の電話がかかってきた。
「おめでとう! 決まったよ」
 マネジャーの言葉を聞いて蓮が口にした言葉は、
「畏れ多いです・・・・・」
 なんとオーディションを勝ち抜いて、CMのヒロインに決定! ポカリスエット ルナ・プロジェクト 「女子マネージャー編」だった。
 それから1週間後には本番、初めての撮影現場に飛び込んだ。
「走るシーンがあるんですけど、とにかく走れと言われたので全力疾走したら『おーい、待て! カメラが追えないじゃないか』って叱られました(笑)。ひとつのコマーシャルを撮るのにどういう役割の方がいるのか、どういう手順で撮るのか、何もわからない状態だったんです。カメラマンとか監督以外にもたくさんの大人の人がいらっしゃって、すごい緊張して、ご飯も喉を通りませんでした」
 ひたむきでピュアでまっすぐな駒井蓮の魅力が、そのCM映像には焼き付いている。
それを皮切りに、その後も大手企業のCMに抜擢が続いた。ファッション誌の専属モデルにも、決まった。
「知らない世界に、次から次に足を踏み入れている感じです。それまでは家族と学校が全世界だったので、東京自体が私にとって異世界みたいな感覚だったのに。お仕事に行くたびに知らない場所で知らない大人の方たちとお話して、毎回毎回、冒険している気分です。お目にかかる方たちがみんな、すごく面白い方たちだし、それぞれいろんなことを教えてくださるのが楽しくて。ファッションの撮影も、すごい刺激、刺激、刺激っていう気がして、わくわくしてます」

  • 出演 : 駒井蓮 こまい れん

    2000年12月2日生まれ。青森県出身。中学2年生のときにスカウトされ、活動を開始。雑誌『nicola』(新潮社)専属モデル。ポカリスエット ルナ・プロジェクト「女子マネージャー編」、「早稲田アカデミー」イメージキャラクター、パナソニックオーディオ イメージキャラクターなど出演したコマーシャルはどれも注目されている。
    ホームページhttp://www.box-corporation.com/

    ヘアメイク 堀口有紀

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/