本のタイトルは『よわむし』だけど、大塚咲自身は全然、弱虫じゃない。
「頑固っていうか、ワガママなのかなって、この本を書きながら思いました。こうと決めたら、絶対曲げない。こうじゃないとおかしい、と思うと、もうそれしかなくなっちゃう。ワガママじゃなくて、素直、とも言えますね(笑)」
 AV業界の中では、売れっ子であると同時に異端児だったらしい。事務所のごり押しや理不尽な扱いに対しては、正々堂々、意見を主張したという。
「戦っちゃいましたね(笑)。他の女の子たちは、その場で〝マジ、わけわかんない〟って文句は言っても、事務所にまで正面切って文句言う人は少ないんです。でも私は言うし、行動しちゃいます。意外と大胆。我が強いんですよね。それは子どもの頃からで、学校の先生とかに対しても〝これは違うな〟と思ったら、きっちり理論的に話して先生を追い詰めていました。こう言ったら絶対あいつはこう返してくるから、そうしたらこう言って、と、作戦練って(笑)。そこからあまり変わってないんだと思います」
 業界にいたのは、約9年。途中休業していた期間もあったけれど、18歳から27歳まで働いた。大塚咲という名前を自分で考え、市場のニーズを自分なりに分析し、宣伝写真から服装、態度などセルフプロデュースをするようになってから、急に売れ出したという。
正義感が強くて、まっすぐで、クレバーで、自分に厳しい。そんな彼女だからこそ、歯車が狂ったときのダメージが大きかったのかもしれない。彼女がどうしてAV女優という道を選んだのか、たぶん理由はそこにある。

  • 出演 : 大塚咲 おおつか さき

    1984年生まれ。東京都出身。2004年よりAV女優として活動する一方、2006年からファッションブランドにイラストを提供、展覧会に参加するなど画家として活動を続けてきた。2011年より写真を撮り始め、写真家としても活動を開始。2012年セルフポートレート写真集『密賣NUDE』を発表している。2012年AV女優を引退した。
    HP https://www.otsukasaki.com/

     『よわむし』

    双葉社刊 2017年6月23日発売予定
    〈イベント情報〉
    大塚咲写真展「me」 6月30日(金)~7月9日(日) 13:00~19:00
    神保町画廊 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-41-7安野ビル1階 
     http://jinbochogarou.com/

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/