コハーンが〝日本に来て本当に良かった!〟と思うのは、美味しいものを食べたとき。

「お寿司大好きです。日本に来て本当に美味しいマグロを食べてから、マグロ大ファンになりました。しめ鯖も好き、ブリも好きです。味噌汁も、最初は好きじゃなかったけど、今は大ファン。納豆はまだ無理ですけどね(笑)」

 日本で暮らせば和食効果で痩せるだろう、とハンガリーの友だちに言われたそうだけど、結果はその逆。来日以来、日本の美味しいものに感動してあれもこれもと食べ続けた結果、140キロだった体重は160キロに! 

去年5月、思い立ってダイエットを開始した。スープを飲み、サラダを食べ、夜の食事を極力控え、運動するストイックな毎日を送ったという。そして今、95キロ。なんと65キロもの減量に成功したのだ。

「太っていたときは、2時間半のコンサートを終えると背中は痛むし、疲れ方もひどかった。でも今は全然問題ありません!」

 なんだか男っぷりもあがったような。

 とはいえ、美味しいものが好き、というのは、今も変わらない。

「日本各地でコンサートをしていますから、行く先々で美味しいものを食べるのが楽しみです。仙台で食べた芋煮スープは美味しかったですね。10月に沖縄に行ったときには最高でした。ゴーヤチャンプル、ゆし豆腐、ジーマーミー豆腐。戻ってきてからも沖縄料理にハマってしまって、自分で作って食べています。料理が好きなんですよ。先日も沖縄料理の食材屋さんでブタの顔を買ってきて、角煮のような、酢豚のようなものを作りました。美味しかったです」

 故郷のハンガリー料理も、自分で作れる。

「グャーシュというスープとか、パプリカチキンとか。ハンガリーの、本物のパプリカを手に入れたときに作ります。そうじゃないと、味が微妙に違うんです。日本とは野菜の味も違うし、牛肉の味も違う。でもハンガリーの味が恋しくなることは滅多にありません。日本にはたくさん美味しいものがあるので、大満足です(笑)」

  • 出演:コハーン・イシュトヴァーン(István Kohán)

    1990年生まれ。ハンガリー出身のクラリネット・ソリスト。6歳でハンガリー国立音楽学校に入学し、8歳で父の手ほどきでクラリネットを始める。以後、英才教育を受けながらクラスナ・ラースロー、サトマリ・ジョルト各氏に師事し、数多くの国際コンクールで優勝、入賞を重ねた。ハンガリー国立リスト音楽院卒業後、2013年7月より活動拠点を日本に移した。2016年3月東京音楽大学大学院修了。これまでに新日本フィルハーモニー交響楽団をはじめ多くのオーケストラとコンチェルトを競演。またソロリサイタルや室内楽の活動を展開する一方、2014年からは作曲家としても活動の幅を広げている。現在、東京音楽大学講師も勤めている。
    オフィシャル・ウェブサイト http://www.istvankohan.com/jap-home

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/