#2 僕の書くのは絵なのか、文字なのか。
書道アーティスト Maaya Wakasugi
- Magazine ID: 2047
- Posted: 2015.02.03

まずは書道家として、一筆したためていただいた。
「虹」という字の古代文字だ。
大きな白い和紙に大きなアーチを、太い筆で力強く、伸びやかに書いていく。(ちなみに、和紙の折ジワは、あとから専門家が裏打ちして額装するとキレイになるのだとか)
「僕は主に文字をモチーフに書いているのですが、例えば〝心〟という文字は心臓の形、ハートの形をしている。時代によって、いろいろな形のハートがあるし、それが右心房なのか左心房なのかはわからないけれど、可愛いビジュアルが多くて好きなんです。その時代に生きていた人々のバイブレーションやエネルギーを瞬間的に捉えたもの、それが文字という形になって現れるんですね。
そんな僕の作品を、絵なのか、文字なのか、聞かれることがあります。僕の中では、土台は文字だけれど、僕自身、それを制限したくありません。その瞬間に感じたこと、記憶に残ったもの、パッションや想い・・・、それが僕を通して形になるんです。絵でもいいし、文字でもいい。絵でなくてもいいし、文字でなくてもいい。それが、僕が書きたい〝書〟だから」(以上のコメントはご本人の意向により、『よみタイム』より転載しました)
たしかに私たちを囲む文字ひとつひとつには、何かしらの意味があり、想いがあり、美しさがある。言霊のように、字にも魂があるはずだ。Maayaさんの書には、その魂まで書き込まれているのかもしれない。
「赤塚曉月先生がよく言っていました。字には形と線がある。お手本の〝形〟をそのまま写せば、字は上手になる。でも〝線〟には書く人の心そのものの動きが現れるって。書く人の日常の生き方や心根が、そこにはちゃんと出てしまうんです。ですから自分の名前を書くときは、なるべくていねいに書くべきです。だってそれは、自分を書くことなのだから」
書き終えたMaayaさん、では、と席を立った。もうひとつの、ドラァグクィーンの顔を、私たちに魅せてくれるために。
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出演:Maaya Wakasugi
17歳で初個展を行い、「古代文字」をモチーフとした独自のスタイルを確立。ロンドン大学での個展、パリのルーブル美術館公認の関連NPOロゴマーク制作、アーティストやクリエーターへの作品提供とコラボレーション、パリやベルリンでのパフォーマンスなど、世界各地でさまざまな活動を続けている。昨年は台湾の襲園美術館で個展を開催、7月にはNYをベースに活動するバンド『Computer Magic』とMoMAで共演し、即興パフォーマンスを披露した。
Maaya Wakasugi個展
『La Coastline』2月4日(水)~13日(金)
Moca東京
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前2-14-17 2階
http://goodagingyells.net/colorful-stationMaaya Wakasugi
オフィシャル・ホームページ
http://www.maayamaaya.com/お問い合わせ
【OFFICE303】
オフィシャル・ホームページ
http://www.office303.jpTel 日本
(81)3-6276-5607
Tel台湾
(886)925-188-444よみタイム
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取材/文:岡本麻佑
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撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://www.haginiwa.com/