綺麗男じゃない、きれいな男
柿澤勇人
- Magazine ID: 1582
- Posted: 2014.08.04
7月末の某日。朝7時から温度計は29度という日だった。
照りつける多摩川の河川敷で、柿澤勇人さんの撮影を行うという。
なぜ。なんのために。…という問いかけはこの連載には無用である。なんせすべてが思いつきで、意味があったりなかったりするからだ。
しかしどうやら、柿澤さんは昔、サッカーをしていたことがあるらしい。
「おはようございます」
愛車で颯爽と現れた彼の私の第一印象は、今どきの「綺麗男(キレオ)」と言われる男のコであった。ニキビなどどこにも見当たらないつるんとした肌。ぴしっと整えられた眉毛。色を入れて丁寧に整えられた髪。
芸能人だから仕方がないが、鏡ばっかり見てるんじゃないかな。……勝手な詮索で、なんとなく「化粧ポーチもってるタイプですか」と聞くと「いや、もってません」と首を振った。「あぶらとり紙も?」と、私はしつこい。どうも年をとると先入観が強くなっていけない。
柿澤さんは控えめに、でもきっぱり言った。
「そんなんじゃないっす」。
どうやら見た目よりは気骨のある人なのかもしれない……。
我々は彼の車に同乗させてもらい、河川敷の近くまで行って降りた。
「暑~」と言ったのはマネージャーさんと私で、柿澤さんは淡々としていた。
「部活はこんなでしたからねえ」
そう言いながらも、みるみるそのきれいな顔に汗が滴り落ちた。
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柿澤勇人
1987年神奈川県生まれ。勇人と書いてはやと、と読む。幼少時からサッカーに打ち込み、名門・都立駒場高校にスポーツ推薦で入学。しかし高1のときに観た『ライオンキング』に衝撃を受け、卒業後、07年に劇団四季の養成所へ。半年で『ジーザス・クライスト=スーパースター』で舞台デビュー。数々の主役をつとめ、09年末、新たな活動を求めて退団。11年からホリプロ所属。映画、ドラマへと活躍の場を広げている。
公式HP http://horipro.co.jp/talent/PM058/
『タイトル・オブ・ショウ』HP http://www.titleofshow.jp/ -
取材・文:森 綾
1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本多数。自著には女性の生き方をテーマにしたものが多く『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)、映画『音楽人』の原作など。
ブログ『森綾のおとなあやや日記』 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
撮影:萩庭桂太