相楽樹 殺陣の練習やってます
1周年記念スペシャル
- Magazine ID: 1521
- Posted: 2013.03.04
おかげさまで、この「萩庭桂太 YOUR EYES ONLY」も1周年を迎えた。
月~金曜更新という過酷な仕事で、なんとか半年はやろう、あと3カ月は頑張ろうと自らを励ましてやってきたのであるが、とうとう1年経ってしまった。
ギャラは雀の涙で、交通費に充当すると赤字が出てしまうくらいである。しかもかなりしんどくて、おまけに、みんな本当に喜んでいてくれているのだろうかという疑念も頭をもたげるから、萩庭桂太も私もまるで薪を背負った二宮金次郎のような気持ち、いや、繁華街の裏通りで雨の日も風の日も八百屋を営んでいるような気持ちになるのであった。
そこで2月21日に1周年パーティーなるものを開催することにした。何かしらリアルな「読んでもらっている」実感が欲しかったのである。
会費制で出演者とその関係者、Facebookでの愛読者を募った。出演者は普通ご招待されるものなのに、会費を払えとは、これもひどい話である。しかし日に日に出席希望者は増えていった。
最近、歳のせいか何かと気弱なことを言う萩庭桂太が言った。
「みんな本当に来てくれるのかな。出席と言っておいて来ない、っていうこともいっぱいあるんじゃないの」
やはり年のせいか被害妄想の強い私は言った。
「そういう形の嫌がらせもあるかもしれません。嫌われてますからね、私たち」
萩庭桂太は遠くを見て不安げにうなずいた。
「……だよね」。
優しかったのは、会場となったロイヤルガーデンカフェ青山店の石川支配人であった。萩庭桂太のためにと、本当に特別な計らいで、全店貸し切りを強行してくださったのである。
何度か女優さんたちの撮影場所に使っているからとはいえ、別にお祝いの席でもなんでもないのに、外苑前の一等地のレストランを貸し切らせてくださるというのは大変なことである。
「お客様に気持ちよく過ごしていただくために全力を尽くします」
そう言ってくださったときは涙が出そうになった。
さて、本番当日。
すでに緊張で動転している萩庭桂太は今度はこんなことを言い出した。
「みんなが一人ずつ友達を誘ったら200人を超えちゃうよ。どうしよう……」
私は笑いをこらえて言った。
「大丈夫ですよ。なんとかなります」
バンドの器材搬入、萩庭一門の若手カメラマンたちへの受付説明などが終わり、そわそわし始めた頃に、いの一番にやって来てくれたのが、相楽樹ちゃんであった。
「すみませーん。今から殺陣のお稽古なので、パーティーには参加できないんですが、ひと目会ってご挨拶しようと思って」
殺陣って、またどうして?
「演技の勉強のひとつとして。殺陣の稽古ではまだまだ自分が知らない動きがたくさんあって、すごく刺激を受けています。やっていくうちにもっとかっこいい女性になりたいって気持ちが強くなってくるんです」
2013年6月1日から全国公開される映画『はじまりのみち』に出演するのだという。
「昭和の娘、義子を演じます。日頃からよく昭和っぽいと周りから言われているので出演できてうれしいです。明るい役が多いんですけど、役者としては根暗な性格とか、気の弱いいじめられっコみたいな役もやってみたいんですよね」
すこし大人になった感じの彼女だが、やっぱりVサインがよく似合った。
萩庭桂太も私も彼女の予期せぬ登場で、ぎゅっと緊張していた心がふわっとほどけたのであった。
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出演:相楽樹
1995年埼玉県生まれ、O型。テレビ朝日のドラマ『熱海の捜査官』で本格デビューし、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』にも出演。2012年12月12日~24日、新宿・サンモールスタジオで公演する劇団競泳水着の『すべての夜は朝へと向かう』に出演。2013年、利重剛監督作品『さよならドビュッシー』出演。
http://ameblo.jp/sagara-itsuki/ -
取材・文:森 綾
大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
撮影:萩庭桂太