新宿伊勢丹のセールに行ってきた。ものすごい人、人、人である。普段とセールのときのデパートの人口密度の差は年々広がっている気がする。人気のブランドを集めたコーナーでは、テープで柵が作られ、入場制限している有様だ。中には洋服がびっしりと並んでいる。いつもの何倍の量であろう。とにかくあるものを全部並べてみました、といった雰囲気だ。

 柵の前に呆然と立ち尽くしていると、隣りで30代とおぼしきごく普通の夫婦らしきカップルの女性の方が、頬を紅潮させて嬉しげにつぶやいた。

「こうやって見ると、可愛いお洋服って、いっぱいあるわね」

 おかしなことを言うなあ、と私は思った。洋服はそういう風にたくさん並べたり積み上げたりしたら魅力的には見えないというのが昔の考え方だった。特に伊勢丹にあるようなブランドものの洋服などというものは、コンセプトに沿って美しくディスプレイされ、店員とやり取りしながら自分が欲しいものを見つけていく、そこに買い物の魅力があったはずなのだ。

 とても考えさせられた。みんな店員とリアルにコミュニケーションを取るのが面倒なのではないだろうか。あるいはそこで勧められるものを信用できなくなっているのかもしれない。人とやり取りをしたり、コンセプトを自分で吟味しながら買い物をするよりも、目の前にダーッとたくさん並んでいるものの中から適当に選ぶほうが楽でいい、と感じる世の中になっているんじゃないだろうか。

 それはいい悪いではなく、そうなってしまっているということである。ひょっとしたらやはりインターネットの影響が大きいのではないかと思う。買い物もネットショッピングに慣れてしまっているから、わかりやすくたくさん並んでいるほうが安心して選べる。いちいちそこにないものを店員さんに倉庫まで取りに行かせて、それを待つ時間も必要がない。

 そういう簡便さにみんなすっかり慣れてしまったのである。

 だとしたら、人材を探すのも、同じようなことが言えるのかもしれない。だからなのかどうか、大勢の人を紹介するサイトが増えた。

 今週紹介するのは「Best Beauty 100」というサイトの中の、美女二人である。

「Best Beauty 100」は、プロフェッショナルな技量をもつ様々なジャンルの美女たちを集めたサイトだ。主宰する菖蒲タケル氏はフォトグラファーであり、プロデューサーでもある。彼は言う。「夢をもってやりたいことを仕事にしている、そういう女性はたくさんいるし、彼女達を見ているとたくさんの人が勇気づけられる。でも全員がそういうわけではない。それぞれ1人ではなかなか見いだされにくかったりするんです。じゃあ、彼女たちを一つのプロジェクトとして応援していこう。そう思って昨年秋に始めました」。

 まずご紹介するのは2010年のミス・インターナショナル日本代表で、今はその経験を生かし、モデルやタレント業のかたわら、女性に向けて立ち居振る舞いやウォーキングの講師をしている金ヶ江悦子さんである。

  • 出演:金ヶ江悦子(かながえ えつこ)

    1985年大阪府生まれ。タレント、インストラクター。2010年度のミス・インターナショナル日本代表。
    オフィシャルブログ http://ameblo.jp/kanagae-etsuko/
    Best Beauty 100 http://bestbeauty100.com/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太