16歳から華麗に舞台で踊っていたはずの彼女が、25歳で車椅子生活。手術しても成功率は50%。成功したとしても再発率は50%。全身の痛みに心が折れ、母親の前で「死にたい」と口走ったこともあった。

「親には本当に心配をかけたと思います。人の心は体で壊れるんですよね。私は手術を選ばず、いろんな先生にお会いして、やっと1人だけ『治します』と言ってくれた整体術の先生を見つけたんです。私、小学生の頃から一流と言われる様々な治療師の方々に診て頂いていましたから、触り方で誰が一流かどうかわかるようになっていたんです」

 赤ちゃんのようにはいはいから始め、だんだんと自分の体を取り戻していったという。

「なんでも自分のせいにして、無理をし尽していたんでしょうね。私みたいな人を増やしたくない。それで、私も自分が得たことを伝えていこうと思うようになったんです」

 関東各地でバレエやダンス・ヨガのクラスを教えながら、独自のストレッチやエクササイズを通して「正しい身体の使い方」を指導し始めたのはそれがきっかけだった。

「自分の体を自分でケアできるようにする。それが一番大事なことです。心と体はつながっていて、その人の体が求めていることをその人自身が聴いてあげることが大事。多くの人が自分の体を奴隷のように扱っています。もっと自分の身体を大事にして、使い方を考えてほしい。自発的になるというのはそういうことです」

 真っ白な彼女の肌の向こうには、真っ赤なものがまだ燃えていた。

 「Best Beauty 100」のサイトには、まだまだいろんな人が集っている。数々の美しい写真の奥にあるリアルな人生の数々を、思った。

  • 出演:安藤万里子

    東京都出身。6歳からクラシックバレエを始め、ユニークバレエシアターにて16歳から公演に参加。高校を卒業後渡米し、ニューヨーク州立大学芸術学部舞踊科にて学ぶ。2001年からアメリカ、ニューヨークにてプロダンサーとしてデビュー、大学では特別奨学金を得てダンスカンパニーと学業を両立する。2003年、同大学を優秀な成績の称号(カム・ラウド)を得て卒業。同時に学部の推薦で学長からパフォーマンス賞を受賞。現在は東京・西麻布でスタジオ「西麻布サロン」を開き、ボディ・コンディショニングを指導する。
    西麻布サロン http://mariko-a.com/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太