いつぞやこの連載で紹介したポールダンスのパフォーマンスチーム、X&Oのお嬢さんたちが、先日、ショーにご招待してくださった。なんとショーの開始は深夜の0時半である。

 せっかくのご招待だし、撮影用ではない、本物のショーはきっと迫力があって楽しいに違いない。X&Oの師匠も出演されるとのこと、これは行かねばと、我々YOUR EYES ONLYのスタッフはわくわくと夜の六本木に集結した。

 私は少し早めにN局長とまるで不倫カップルのように落ちあい、「天鳳」で「一三五」というものすごく硬くてしょっぱくて、脂たっぷりのラーメンを食べて出陣した。夜に弱い萩庭桂太も別の仕事終わりでやって来て、台湾でのコーディネートでお世話になっているキヤマくん、Yさん、ヘアメイクのSさんも登場した。キヤマくんは某世界一の広告代理店に勤務するM氏も連れてきた。

 例のエロい衣装全開のX&Oである。腿でポールに巻き付いたり、逆立ちしたりとプレイも全開だ。

 やがてショーもたけなわ、観客から選ばれた人が千円札を口にくわえて床に仰向けになるゲームコーナーになった。パフォーマーのお嬢さんたちはポールの上方から、そこに向かって勢いよく真っ逆さまに滑り落ち、観客の顔に激突する寸前で止まって、千円札を口でくわえて、いただくのである。

「ひゃああ」

 目をしょぼしょぼさせながら、N局長は思わず小さな声を出した。皆、固まって成り行きを見守る。

「よく寸止めにできますよねえ。あれ、顔ごと落ちたらどっちも大けがですよ」

「ううーん」

 帰り際、N局長はぽつりとつぶやいた。

「ハラハラしたけど、ちっともエロくはないな」

「……」

 何を期待されていたのかよくわからないが、まあ私もそう思った。すべてが明るく楽しげだった。店を出たのは1時半であった。

「じゃまた明日~」

 そう、N局長以外のスタッフは皆、翌朝8時に新宿集合だったのである。まる1日、台湾から世界デビューをもくろむ、Tiffanyちゃんを撮影、取材することになっていたのだった。

  • 出演:Tiffany

    1990年1月1日台湾生まれ。国籍はアメリカ。アメリカ育ちの台湾マルチタレント。台湾に生まれ、幼少期にL.Aに移住。そこで語学、音楽、舞踏、ファンションを学習。 その後、ニューヨークにあるParsons The New School for Design(パーソンズ美術大学)に入学、主にファッションを学ぶ。 2013年夏に卒業予定。2012-2013年にかけて、台湾にて大規模な芸能デビュー計画がある。

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

スタイリスト:ERI
衣装協力:ネックレス ¥3990(Aquvii/Aquvii TOKYO 03-6427-1219)
撮影:萩庭桂太