最近、初めて会う人に「週刊文春WEB、読んでいます」と言われることが増えた。ありがたいことである。しかしそう言われると、いきなり「あなたのことをよく知っていますよ」と言われているようにも感じられて少し怖い。

 ネット上で文章を読むというのは、紙の上に印刷された活字を読むのとはまったく違う浮遊感とぐーっと寄ってくるような親近感があるのかもしれない。要するに「週刊文春」と冠がついていても、この連載はまるでブログを読んでいるような感じなんじゃないかと思うのである。

 個人的に「週刊文春WEB」の他の記事を読んでいても、なんだか「ここだから言うけど、あいつ、ほんとはさー」的な感覚にとらわれることがある。だからAKB48の女の子の記事などは、活字で読むよりものすごくインパクトが強いんだろうと思う。昔、ラジオが深夜放送のトークによってパーソナル・メディアになった。今はPCやスマホが“ど近眼的”な超パーソナル・メディアになっているような気がする。

 そんなこともあってなのかどうか分からないが、この「萩庭桂太のYOUR EYES ONLY」に登場した女優さんやモデルさんたちが、それぞれの場所でさまざまに活躍の場を広げているらしい。

 萩庭桂太は自分が「目利きなのだ」と言って憚らない。

「オレが撮ったらみんな売れるんだよ」

 確かにそういう傾向はあるようだ。いいところを見つけてきれいに撮る、ということの積み重ねが、結局本人に「自分のいいところ」を気づかせることになるのかもしれない。あるいは長くたくさん仕事しているから、単に売れたタレントの人数も多いということも言えるだろう。

 今週、登場していただくのは18歳のタレント、小島瑠璃子ちゃん。なんとマネージャーは23歳、ヘアメイクの山下くんは24歳という強力に若いチームである。

 みんなでご飯を食べているとマネージャー氏がぽつりと言った。

「なんか、家族みたいですね」

「……」

 沈黙が流れた。誰が、とは書かないが、残るスタッフは48歳バツイチ。46歳独身。もちろん、子どもを持ったことはない。

 どこで人生を踏み外したのだろうか。……重苦しい空気の中で、小島瑠璃子ちゃんがうれしそうに言った。

「あ、このちらし寿司、美味しいですね」

 その明るい笑顔だけが、その場の救いであった。

  • 出演:小島瑠璃子

    1993年千葉県生まれ、O型。2009年に第34回ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリ。テレビでは『S☆1』(TBS系)、『すイエんサー』(NHK Eテレ)などにレギュラー出演中。男性誌のグラビアでも活躍中。
    公式ホームページ http://horipro.co.jp/talent/PF113/

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

ヘアメイク:山下博司 http://www.hiroshiyamashita.info/
撮影:萩庭桂太