東出佳子さん(右)と直子(左)さんは「はちみつ美容研究家」である。はちみつを使った独自の美容法をセミナーで教えている。商品として化粧品を作っているわけではなく、オリジナルのはちみつを一種類だけ販売している。

 が、商品を売ることだけが目的でもなく、はちみつの効能について研究したこと、それを使った肌のケアとメイクの方法まで、頼まれれば講義に出かけたりもしている。

 妹の直子さんが、主に話をする。

「私は子どもの頃、ひどいアトピー性皮膚炎だったんですね。日光アレルギーもあり、夏でも長袖とタートルネックで過ごしていました。食事制限もあり、なぜ私だけがこんなに不幸なんだろうと思っていましたね。家族の中で、1人だけそんな状態だったんです。両親は医者の言う通りにし、効くと言われる温泉などに連れていってくれましたが、小学生のときは、本当にひどい状態でした」

 姉の佳子さんは、そんな直子さんをどんな風に見ていたのだろう。

「今でこそ、当たり前に腕も足も出していますけれど、その頃は夏でも黒装束のようでした。普通の格好しちゃダメなのかな、と思っていました。可哀想にと思う気持ちと、どうにか治らないのかという気持ちでしたね」

 「なぜ私だけが」と思い続けていた直子さんが、その気持ちを変化させたのは、小学4年生のときのことだった。

「あるとき、温泉地で、私と同じくらいの年齢で、もっとひどいアトピーの子どもがいて、当たり前のように親に湯をかけさせていたんですね。その親御さんは泣いていました。それを見たとき、私は『親にそんなことをさせるのは恥ずかしいことなんだ』と悟ったんです。私も同じことをさせてる。ダメだ、と。その時から、今ある状態を受け入れよう、そして自分で治したい、という方向にスイッチしたんです」

 思春期になった彼女は化粧品もお手製にし、あれこれ試しながら、少しずつよくなっていった。

「まずは薬を止めることでした。そして自然食を取り入れ、病気にならないような健康な身体をつくっていくことで、かなりよくなりましたね」

 就職。結婚。出産。離婚。女性としてのフルコースの果てに出会ったのが、はちみつだった。

Best Beauty 100

http://bestbeauty100.com/

  • 東出 佳子

    はちみつマイスター・セルフプロデュースメイクマスター。アーユルヴェーダやメディカルハーブを学び、飲食店経営を経て肌から食すという考え方に着目。はちみつの素晴らしさに魅せられ、世界中のはちみつを探求。はちみつの真の価値を知り、未知なる可能性を伝える為、はちみつ美容研究家として活動開始。はちみつ美容を取り入れたスキンケアからメイクアップまでトータルビューティを提案。

  • 東出 直子

    はちみつマイスター。生まれつきアトピーと診断され、予防医学に強く惹かれる。美容系商社退職後、アーユルヴェーダやメディカルハーブを学び、またカラーカウンセラー、ベビーヨガインストラクター資格取得。出産を機に内面と外面の健康美に積極的に取り組む。シンガポールにてベビーヨガインストラクター、モデルとして活躍。帰国後、はちみつによる自身のアトピー改善体験とはちみつの真の価値、未知なる可能性を伝える為、姉妹ではちみつ美容研究家として活動を開始。
    はちみつ美容研究所 APIKOKO http://apikoko.com/

  • 取材・文:森 綾

    1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本多数。自著には女性の生き方をテーマにしたものが多く『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)、映画『音楽人』の原作など。
    ブログ『森綾のおとなあやや日記』 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太