名古屋から上京してきて、岡愛恵ちゃんは初めて挫折感を味わった。

「東京でのオーディションはとにかく集まる人数が違いますし、簡単には合格しない。私って名古屋で調子乗ってたんだなーと思いました」

　水が変わったからか、肌が荒れてしまい、皮膚科に通ったこともあったという。

「私、友達もできなくて。仕事でモデル仲間と出会っても、その場限りでバイバイ、と別れてしまいますから」

　可哀想に。あ、いいこと思いついた。

「萩庭さんも、友達いないわよ」

　どうかしら、デートしてみたら？　という表情で萩庭桂太の顔を見ると、そんな推し方はないだろうと、本気でむっとした顔をされた。岡愛恵ちゃんはきょとんとしている。うーん、せっかくの共通点だと思ったのにな。

　えっと、話題を変えて。お休みの日は何をしているの？

「ケーキ教室に２カ所掛け持ちで通っているんです。それから、ベリーダンスにも４年くらい通っています。あとは母親や妹と買い物に行ったり。東京の暮らしもそれなりに楽しいです。名古屋に帰ると、早く東京に戻りたいと思ったりします」

　名古屋女子はコンサバティブだ。休日に母娘で買い物する姿が当たり前のように見られる。おしゃれが好きで美容に関心が高く、中学生のときから多くが脱毛するというデータもある。

「コテ、持ち歩いてました？」

　名古屋巻きといって、セミロングの髪の下のほうを思いきりカールして固めるスタイル、彼女もやってたんだろうか。

「はい。MYコテとハードスプレーを持ち歩いてました」

　ぽーんとこちらの懐に飛び込んでくるようにノリよく話す。

　じゃ、そろそろ本題に入りますかね。

（取材・文：森　綾）