#3 『ロッキー』と『E.T.』
キネコ国際映画祭 フェスティバル・ディレクター 田平美津夫
- Magazine ID: 3797
- Posted: 2018.11.14
このダンディな紳士は、株式会社東急レクリエーション代表取締役社長の菅野信三さん。キネコ国際映画祭の前身、「キンダー・フィルム・フェスティバル」が本拠地を失い、だんだん運営が難しくなっていたとき、力を貸してくれた救世主的な存在だ。
「菅野さんに僕のやっていることを説明したらその瞬間に、『これは素晴らしい!』と言ってくれたんです。そこからトントン拍子に、二子玉川での展開が決まりました。各方面にもいろいろご紹介いただいて、映画祭が大きく育っています」
企業人として、だけではなく、菅野氏個人が、この映画祭の趣旨に心から賛同している。写真を撮るときも、キネコ人形と一緒に、というリクエストを快く引き受けてくれた。
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田平少年に多大な影響を与えた映画は、『ロッキー』(日本公開1977年)と『E.T.』(日本公開1982年)。
「最初に映画監督になりたいと思ったきっかけは、高校生のときに見た『E.T.』です。スティーブン・スピルバーグに憧れました。すごく良く出来たファンタジー作品で、夢を持たせてくれました。その頃からどんどんどんどん、映画のことしか頭にない、という人間になっていった(笑)。それ以前に映画を作りたい、と、見る側から作る側に興味が移ったきっかけは、『ロッキー』です。脚本・主演のシルヴェスター・スタローンはもともと売れない役者で、たまたまボクシングの試合を見て、物語を思いついた。3日でストーリーを練り上げて、奧さんにタイプしてもらって脚本を映画会社に持ち込んだんです。すると誰か他の役者に主演させると言われて、でも自分が主演もしたいんだと言い張って、作ったのが『ロッキー』。だから映画そのものと、スタローン自身の物語と、両方に感動したのかもしれません。ロッキーは文字も読めなくて、頑張れるのはただ、リングに立ち続けることだけ。ある意味、小学校3年生からずっと立たされてきた自分の人生とかぶるんです」
映画に夢中になると同時に、田平少年はケンカにも強くなっていった。いわゆる不良のレッテルを貼られてしまったのだが、それも、ただの不良じゃない。
「良い不良です(笑)。煙草を吸っている奴がいると、やめろ、と取り上げる。シンナー吸ってる奴がいると、やめろ、と取り上げる。理不尽な教師がいると、正面から抗議する。時には手も出す。正義感あふれる映画をたくさん見ていましたから、そのまま正義感強く、育ってしまったんです。それでよくケンカをして、そのうち、教師の中にも悪いヤツがいたものですから(笑)」
結局、退学。そこからアルバイトしてお金を貯め、田平は単身、アメリカへ。
「英語は全然、できなかったんですけど、片道チケットを握りしめて、スティーブン・スピルバーグの弟子になるために行きました(笑)」
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出演 :田平美津夫 たひら みつお
1965年、北海道上ノ国町生まれ。小学校3年で愛知県一宮市に移り住む。岐阜第一高校中退。84年から87年までアメリカで生活。帰国後、広告会社に勤務の後、内装工事会社を経営。92年から子ども映画祭「キンダー・フィルム・フェスティバル」にアシスタント・プロデューサーとして参加。紆余曲折を経て2015年、「キネコ国際映画祭」に改称。現在は同映画祭のフェスティバル・ディレクター。人材派遣業、まきストーブ販売業、飲食業のカイクラフト社長。
【キネコ国際映画祭2018】
会期:2018年11月22日(木)~11月26日(月)
会場:東京・二子玉川 109シネマズ二子玉川シアター1・ITSCOM STUDIO&HALL二子玉川ライズほか周辺エリア公式ホームページ・http://kineko.tokyo/
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取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/