昨年12月27日、MAXLUXは東京大手町のコットンクラブで『売野雅勇作詞活動35周年コンサート Fijiyama Paradise Tour Vol.2 天国より野蛮』のステージに立っていた。

 哀愁を帯びた美しいハーモニーが、ヒットナンバーを見事に歌い上げる。その姿はゴージャスで上品で、大人の女性の色気もたっぷり。さらに合間には、流暢な日本語でチャーミングなトークを展開する。観て・聴いて・笑える、最強のエンタテイメントだ。

 でも実はこのユニット、当初は違うネーミング。売野はなんと『ELIZABETH TAYLORS』と名付けたとか!

「どうしてもその名前にしたかったんです。だって〈絶世の美女〉なんですから、キレイでいいじゃないですか(笑)。その名称で一時期テレビ番組でもレギュラー出演していました。でも固有名詞はさすがにマズイだろうと言われて、しぶしぶ変えたんです。僕が書いた詞の中に〈愛はこの世で最高の贅沢〉という一節がありまして、そこからMAX LUXURY、略してMAXLUXになりました」(売野)

 ねらうのは、日本のショービズ界だけではない。アメリカのヒット・チャートだ。

「アメリカではときどき、アメリカ人以外のアーティストがビッグヒットを当てるんです。ルーマニア発の『恋のマイアヒ』とか、アバもそうだし、他にもいくつか周期的に、企画物が空前のヒットになることがある。それをねらうのもいいかな、と(笑)。『少女A』はじめ何曲もご一緒している作曲家の芹澤廣明さんは今、日本にいながらアメリカのミュージックシーンで活動していて、それを僕は羨ましく思っていたんです、ずっと。でも英語で詞を書くことはできないし、だったら自分のグループを作ってアメリカでヒットを出してみたい。職業作家としてそれは、最高の夢だな、と思うんですよ」

 売野雅勇とMAXLUXの壮大な夢が、叶いますように!

  • 出演:売野雅勇(うりの まさお)

    1951年生まれ。コピーライターを経て81年作詞家としての活動をスタート。82年中森明菜『少女A』のヒットにより作詞活動に専念。多くの作品を生み出し、80年代アイドルブームの一翼を担った。90年代は矢沢永吉、SMAP、森進一まで幅広く作品を提供。主な作品に郷ひろみ『2億4千万の瞳』、ラッツ&スター『め組の人』、チェッカーズ『涙のリクエスト』、稲垣潤一『夏のクラクション』、荻野目洋子『六本木純情派』、矢沢永吉『SOMEBODY‘S NIGHT』、坂本龍一『美貌の青空』、中谷美紀『砂の果実』など。90年代以降は映画・演劇にも活動の場を広げている。
    近著に『砂の果実 80年代歌謡曲黄金時代疾走の日々』(朝日新聞出版刊)がある。
    作詞家活動35周年を記念して、売野雅勇作詞活動35周年記念CD-BOX『Masterpieces~PURE GOLD POPS~売野雅勇作品集「天国より野蛮」』(ポニーキャニオン)を発表した。

    MAXLUX

    売野雅勇プロデュースによる、美貌かつ実力派のロシア娘3人からなるヴォーカルユニット。TVの外国人カラオケ大会で2位になったアリシア、ロシアでデュオとして活躍していたラーナ、オスロでジャズ歌手として活躍していたオリガの3人。2012年10月~2013年3月『サタデー・ナイト・ライブJapan』のレギュラーをつとめたのをきっかけに本格的活動を開始した。

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/