MAXLUXは、ロシア出身の美女3人のユニット。プロデューサーとして売野は〝J-POPを外国人コーラスが歌う〟というコンセプトでメンバーを探し始めたという。最初に彼の目に止まったのが、アリシアだった。

「2011年に〈外国人カラオケ大会〉というのがあって、その2位になったのがアリシアでした。抜群に歌がうまくて、僕は1位の人より彼女が歌った『恋人よ』のほうが心に響きましたね。日本語もうまいし、キレイだし、彼女と出逢ったことから、MAXLUXは具体的な形を取り始めたんです」(売野)

 アリシアはロシアのハヴァロフスク出身。10代の頃、ダンシング・チームにスカウトされた後に歌唱力を評価され、ダンサー兼メイン・ヴォーカリストとしてロシア・中国・韓国を巡るコンサート・ツアーに参加したこともあるという。ハヴァロフスク大学に在学中、日本が好きになり、日本で歌手になることを夢見て、日本語の勉強を始めた。2010年、その夢を叶えるために来日。レポーターやパネラーとしてTVに出演していたという。

「日本が憧れの国だったんです。日本語の響きが好きで、意味がわからなくても、優しいことを言っているんだろうなぁって(笑)。だから日本語の勉強を始めました。日本に来てもう7年、こんなに勉強しているのに、なかなかうまくならないのが悔しくて」

 そう嘆くものの、彼女の日本語はかなりのもの。ステージでも歌の合間のトークで客席を沸かせている。日本文化にも通じているし、頭の回転が速くて気転が利く、お姉さんタイプだ。

「そうですね、ふつうのガイジンはアニメとかマンガ好きだけど、私は日本の古い映画が大好き。小津安二郎の映画も良く見ますが、成瀬巳喜男が撮った高峰秀子の主演作品は好きでだいたい見ています。もちろん村上春樹も読みますし、ロシアでは北野武もすごく有名なんですよ」

 好きな日本人アーティストは?

「鈴木雅之さん、スーパーフライ、あと郷ひろみさん!」

 好きな日本語は?

「〝ありがとう〟。あと、〝毛むくじゃら〟。なんか、おもしろくて(笑)」

  • 出演:売野雅勇(うりの まさお)

    1951年生まれ。コピーライターを経て81年作詞家としての活動をスタート。82年中森明菜『少女A』のヒットにより作詞活動に専念。多くの作品を生み出し、80年代アイドルブームの一翼を担った。90年代は矢沢永吉、SMAP、森進一まで幅広く作品を提供。主な作品に郷ひろみ『2億4千万の瞳』、ラッツ&スター『め組の人』、チェッカーズ『涙のリクエスト』、稲垣潤一『夏のクラクション』、荻野目洋子『六本木純情派』、矢沢永吉『SOMEBODY‘S NIGHT』、坂本龍一『美貌の青空』、中谷美紀『砂の果実』など。90年代以降は映画・演劇にも活動の場を広げている。
    近著に『砂の果実 80年代歌謡曲黄金時代疾走の日々』(朝日新聞出版刊)がある。
    作詞家活動35周年を記念して、売野雅勇作詞活動35周年記念CD-BOX『Masterpieces~PURE GOLD POPS~売野雅勇作品集「天国より野蛮」』(ポニーキャニオン)を発表した。

    MAXLUX

    売野雅勇プロデュースによる、美貌かつ実力派のロシア娘3人からなるヴォーカルユニット。TVの外国人カラオケ大会で2位になったアリシア、ロシアでデュオとして活躍していたラーナ、オスロでジャズ歌手として活躍していたオリガの3人。2012年10月~2013年3月『サタデー・ナイト・ライブJapan』のレギュラーをつとめたのをきっかけに本格的活動を開始した。

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/