1月20日金曜日、この日は売野雅勇とMAXLUXの3人で、文化放送の『くにまるジャパン極 極シアター』にゲスト出演した。トークの内容は売野が作詞家になった経緯から、ヒット曲の裏話、そして作詞家である売野がなぜ、MAXLUXという異色ユニットを作ることになったのか。もちろんYEOも、そのへんをじっくり、聞いてみた。

「もともと作詞家ぽくないんです、僕は。最初は映画に興味があって、コピーライターになって、たまたま作詞家になったような (笑)。だから本当は何をやりたいのか、わかってないんじゃないかなって自分でも思います。詞を書くのは好きだけど、それ以前に楽しいことが好き、面白いことが好きなんです。笑えること、ファニーなこと、ふざけることが1番好きかな。しかもすぐに何かを、思いついちゃうんですね(笑)。それを実行するかどうかは別の話で、やる気のある人がすぐ側にいたり、タイミングが合うと、それが一気に実現していくことになる」

 1990年以降、売野は映画、演劇、脚本の世界にも進出。インターネット・ドラマ・サイト『Radiogenic』を開設して100本ものオーディオ・ドラマを発表したり、何本もの舞台の脚本プロデュースを手がけてきた。その中でも1番楽しかったのが、レビューショー『虎島キンゴロウ・ショー』(2008年)。60年代のキャバレーを舞台に、外国人歌手が歌って踊るステージに手応えを感じたという。

「それをやるうちに、僕の若い頃には外国人アーティストが歌って日本でヒットするというスタイルがあったのを思い出したんです。僕の大好きなスリー・ディグリーズもそうだし、あとはダニエル・ビダルとかフランス・ギャルみたいな人もいましたね。もともと僕はコーラス好きだし、だったら外国人の歌い手を集めて何かできないかな、と、思いついたんです」

 話を聞いていて思いだしたのが、永六輔。彼も作詞家でありながらあれもこれも、さまざまなクリエイションに携わっていた。というか、作詞はその才能のごく一部だった。売野の場合も同様に、ジャンルに囚われることなく、自分の好きなエンタテイメントを追い求めているのかもしれない。

「共通項はありますね。しかも僕も最近、あちこちでよくしゃべるようになって。永六輔さんと似ないように、早口にならないように気を付けているんですけどね(笑)」

  • 出演:売野雅勇(うりの まさお)

    1951年生まれ。コピーライターを経て81年作詞家としての活動をスタート。82年中森明菜『少女A』のヒットにより作詞活動に専念。多くの作品を生み出し、80年代アイドルブームの一翼を担った。90年代は矢沢永吉、SMAP、森進一まで幅広く作品を提供。主な作品に郷ひろみ『2億4千万の瞳』、ラッツ&スター『め組の人』、チェッカーズ『涙のリクエスト』、稲垣潤一『夏のクラクション』、荻野目洋子『六本木純情派』、矢沢永吉『SOMEBODY‘S NIGHT』、坂本龍一『美貌の青空』、中谷美紀『砂の果実』など。90年代以降は映画・演劇にも活動の場を広げている。
    近著に『砂の果実 80年代歌謡曲黄金時代疾走の日々』(朝日新聞出版刊)がある。
    作詞家活動35周年を記念して、売野雅勇作詞活動35周年記念CD-BOX『Masterpieces~PURE GOLD POPS~売野雅勇作品集「天国より野蛮」』(ポニーキャニオン)を発表した。

    MAXLUX

    売野雅勇プロデュースによる、美貌かつ実力派のロシア娘3人からなるヴォーカルユニット。TVの外国人カラオケ大会で2位になったアリシア、ロシアでデュオとして活躍していたラーナ、オスロでジャズ歌手として活躍していたオリガの3人。2012年10月~2013年3月『サタデー・ナイト・ライブJapan』のレギュラーをつとめたのをきっかけに本格的活動を開始した。

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/