カナダのバンクーバーで中国のドラマ制作会社に入社したヴィクトリア。だけど次第に、〝北京で働きたい!〟と思い始めた。

「だってそこが文化の中心だから。でも最初の1年はすごくハードでした。私は香港育ちで広東語しか話せなかったから、北京語についていけなくて。それに働く環境というか雰囲気にも、なかなか慣れることができませんでした」

 しかし3年前、再び転機が訪れる。会社が映画部門を作り、そこに配属されたのだ。折しも中国では映画のニーズが高まり、次々に作品を生み出す時代に入っていた。

「そこからたくさん仕事をしました。映画作りに必要な各部門をひと通り、経験させてもらったんです。さらに海外から招聘したプロデューサーのアシスタントについて、いろいろ教えてもらい、トレーニングを積むことができました」

 そして今、彼女の名刺には〈副総裁〉(Vice President)の肩書きが!

「ボスがくれた肩書きです、ラッキーでした(笑)」

 いやいや、実力でしょう。しかも2年前、夫もゲット。彼は同じ会社で映画監督をしているという。

「彼は、私が北京に来たばかりで大変な時期に相談相手になってくれた人、もともと親友でした。彼もニューヨーク育ちの中国人だから、似たような経験をしていたんです。その後、一緒に映画を作ることになって、それから付き合うようになって・・・・」

 公私ともに充実、そのハッピーオーラが彼女をより一層、魅力的にしているのかも。

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/