笈田さんのキャリアの最初は、DJアシスタント。FM東京の『ステレオ サンデー ミュージック』という2時間番組で、メインDJ神太郎さんの相手役をこなしていた。
その後、ステージの司会業もスタート。フォーク、ジャズ、歌謡曲などさまざまな音楽ショーのステージに立っていたが・・・・。

「身長が高いから、敬遠されちゃうんです。人気歌手が私と並ぶと、チビなのがバレちゃうでしょ(笑)。それに、思ってもいないおべんちゃらを言うのが苦手で・・・・」

 25歳頃から、黙っていても仕事になる、ファッション・モデルに転身。ところが30代半ばにして、ウツ状態になってしまった。

「夜中、2時頃に突然目が覚めて、すごい恐怖感にガーンと襲われるの。怖くて涙が出るけど、どうしてそうなるのかわからない。1時間くらい泣いてから、また眠る。そして朝になると、今度は起きられない。頭の中で、布団から出て、歩いて洗面所に行って歯ブラシを取って・・・とリハーサルを10回くらいして、やっと起きられる。仕事にはかろうじて行っていたけど、友だちとの約束には、出かけられないんです。動かなきゃ、と思っても動けない。何も予定がない日は、朝からずっとテレビの前にいて、気が付くと夕方になっていた。でも今から30年以上も前だから、ウツなんて言葉も知らなかった。ただただ、変だなーって」

 このままじゃいけない、なにかしなくちゃ、と、もがくように手にしたのが、1枚のパンフレット。

「1年前にもらったモノだったけれど、それを見たとたんに〝カウンセリング〟という文字が光って見えたの。運命みたいにね(笑)。すぐにその『東京カウンセリング スクール』というところに行ってみたら、そこの事務局長のオジイサンが、なんでもいいから、やってごらん、って言ってくれたの」

  • 出演:笈田育子(おいだ いくこ)

    中山ニナという名でDJアシスタント、司会、モデルとして活動の
    後、40代から心理カウンセラーに。目白大学大学院心理学研究科臨床心理学専攻修
    了。臨床心理士。日本カウンセリング学会認定カウンセラー。カウンセリング教育、
    講演、カウンセリングを中心に各地で活動中。主な活動は、目白大学心理カウンセリ
    ングセンター相談員をはじめ、『NPO CESC カウンセリング教育サポートセ
    ンター』、看護専門学校で人間関係論の講義、地方自治体の女性の悩み相談など。

    撮影協力

    『NPO法人 カウンセリング教育サポートセンター(CESC)』
    東京都千代田区神田神保町1-34 風間ビル3階
    http://www.npo-cesc.net

  • 取材/文:岡本麻佑

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/