2013年6月、ファンもMIYAKO本人も待望のファーストアルバムが完成した。日本の歌謡史100年という壮大なスケール。その中からたった19曲を選ぶのは難しかったのでは?

「基本的には、自分が知っている曲、みんなが知っている曲を選んだつもりです。そう思ったら知られていない曲もあったみたいだけど(笑)。それから、私自身が聴いていても歌っていても、素敵だと思う曲ですね」

 100年というからには、当然、彼女が生まれる前の曲もある。しかしそこは歌謡界の重鎮の薫陶を受けたMIYAKOのこと。歌ったことのある曲ばかりだったらしい。

 なにしろ、小学生のときのベスト3は「酒場にて」(1974年)「石狩挽歌」(1975年)「星の流れに」(1978年)だというのだから渋過ぎる。というか、知りませんでした、MIYAKOのライブで聴くまでは。

 アルバムの収録曲は、スウィートジャズテイストにアレンジされている。彼女のライブでは、ジャズのスタンダードナンバーも定番だ。デビュー当時はどちらかというとジャズライブが多かったという。

「ジャズって可愛らしい内容の歌詞が多いですよね。とくに「It’s only a paper moon」は可愛くて、大好きな曲。ジャズを歌うのはすごく楽しいです」

 だが、「美しい日本語で歌う」というコンセプトでデビューしたMIYAKOゆえ悩むことになる。ジャズばかり歌っていていいのだろうか、と。

 その頃、あるライブで美空ひばりの「津軽のふるさと」を歌った。物まねではなくMIYAKOらしい歌い方で。これが評判になり、少しずつ日本の古い歌をレパートリーに取り入れるようになった。

 古い曲だけれど、アレンジはスウィートジャズ。そうして、きれいなハーモニーをおしゃれなサウンドで、というMIYAKOのサウンドが確立された。

 MIYAKOのサウンドに欠かせないハーモニーを担当しているのは、EXCELLANDというコーラスグループ。今回の撮影では、恵比寿の通称「タコ公園」で歌ってもらった。平日の昼休みどきの公園、お弁当を食べる人の前でゲリラライブだ。ほれぼれするようなハーモニーで2曲、歌い終わったときにはあちこちから拍手が聞こえてきた。

 アルバム「白い花の咲くころ」は、これまでのMIYAKOの集大成といえる。一番古い曲は「宵待草」(1917年)、最も新しい曲はMIYAKO自身の「逢いたくて」だ。「歌謡史100年なのに、ちょっと図々しいですよね」と照れ笑い。

 年末には、恒例のライブ「MIYAKO & Papa Special Live」が待っている。父と娘が歌で競演するステージは、毎回満員御礼の札止めになる。年齢層は幅広く、親子で訪れる人たちも少なくない。

 また、2014年3月にはアカデミーのメンバーと台湾でリサイタルを行なう予定だという。いよいよ海外進出。さて、今後のMIYAKOの目標は?

「長く聴ける歌を多くの人の心に寄り添いながら歌っていきたいですね。私がリレーのバトンを受け取って、次の世代に伝えていきたい。あとは……紅白には出たいですね。親孝行したいから(笑)」

  • 出演:MIYAKO

    東京都出身。1月24日生まれ。水瓶座O型。小学5年生のころから独学でピアノ、作詞作曲を始め、中学時代にはフォークソングクラブを設立し、学園祭では初めてのライブを体験。高校時代はフォーク村同好会に所属、オリジナル曲でのライブ活動を中心に、ヤマハのポプコンなどにも出場。留学先のボストンのエンディコット・カレッジでは、コマーシャルアートを専攻。卒業後はデザイナー、アートディレクター、カウンセラーなど、多彩な才能を活かし第一線で活躍。1996年、ライフワークである音楽を再開。ニューヨークのカーネギーホール、ホノルルのハワイシアターなど、世界の檜舞台を経験。2009年10月21日、MIYAKOとして念願のメジャーデビュー。透明感のある伸びやかな歌声はまさに自然体。限りなくキレイを追求する、スタイリッシュな「新世代アラフォー」。デビュー以降は、フォーシーズンズホテル椿山荘東京の「スタンダードジャズとほたるのゆうべ・ディナーショー」をはじめ、「着物 de Jazz」、年2回開催の「MIYAKO & Papa Special Live」など、精力的にライブ活動を行なう。
    2013年6月、コロムビア・マーケティング(SVACレーベル)より待望のファーストアルバム『白い花の咲くころ』を発売。全19曲入り。歌謡史100年の名曲の数々をジャズ・ピアニストの小泉宏がスウィートジャズコンボ風にアレンジし、MIYAKOが誘う魅惑の世界が完成した。。
    公式ホームページ http://www.miyako-creative.com/
    オフィシャルブログ http://ameblo.jp/miyako-creative/

  • 出演:EXCELLAND

    Ash、Lyu、Shinsuke、Yutaからなる男性4人のヴォーカルグループ。それぞれがオリジナル曲を持ち、ソロでライブ活動を行っていた4人が、新たな音楽を求め、2009年6月にEXCELLANDを結成。Jポップ、ジャズ、ロック、ゴスペル、歌謡曲など、幅広い音楽性をバックグラウンドに持ち、ただのヴォーカルグループという枠にとらわれない活動を展開。自ら作り出す楽曲に、自らがヴォーカルアレンジをほどこし、聴き手の耳に残る歌を時代に刻み込んでいく。EXCELLAND(エクセランド)は、EXCELLENT(優れた)とLAND(国・土地)を組み合わせた造語。
    http://www.excelland.jp

  • 取材・文:加藤いづみ

    コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画のほか、1996年より某企業のPR冊子(月刊)制作を継続して手がけている。

ヘアメイク:茂手山貴子 http://moteyama.com/
撮影:萩庭桂太