『タモリ倶楽部』の名物コーナー〈空耳アワー〉、そのオープニングタイトルを歌っているMidoriが実は辛島美登里というのは、知る人ぞ知るエピソード。そのタモリさんから辛島は「辛島先生」と呼ばれている。元高等師範学校である難関校、奈良女子大卒なのでそう呼ばれているのだが、実際に高校の家庭科の教員免許を持っているという。
「大学に入ったばかりの頃は自分がデビューするとはまったく考えていなかったので、卒業して就職するときに何か資格があったほうがいいと、一応先生の免許を取ったんです。それに本当は私、クラスの誰よりも早く結婚するって信じて疑わなかったんです。私みたいにほどほどの顔で、ほどほどの性格で、ぼやっとした女の子は一番結婚しやすいと、それには自信がありました。家政学部に行けばますます結婚には有利、お見合いでも女らしいと思ってもらえるはずだと。ふつうに結婚して子どもが生まれて、子育てしながら専業主婦になると信じて疑わなかったのに、まさかこの私が独身のまま今にいたるとは!」
 大学に在学中、ヤマハのポピュラーソングコンテストに出場して、グランプリを獲得。卒業後は上京して、ソングライティングの勉強を開始。さまざまな歌手に楽曲提供した後、28歳で自身も歌手デビューを果たしたのだ。
通常のライブやコンサートだけでなく、フルオーケストラをバックに歌い上げるクリスマス・シンフォニック・コンサートは、まさに圧巻。10年続いたそのコンサートは、その後さらに『Winter Picture Book(冬の絵本)コンサート』に進化して、今年9回目を迎えるという。
とはいえ、歌うのが好きじゃないのは、月曜日にも話している通り。
「未だに、歌わないですむのならなるべく歌いたくないというか(笑)。でも求められれば、こんな歌でよろしければ、と、前傾姿勢になってしまう自分もいる。ですから歌うのは、修行だと思っています。自分の持っている身体という楽器を使って、どれくらいまでやれるのか、それを見極める修行ですね。喉は楽器なので、歳を重ねるほどにどんどん摩耗していく。それでも人が聴いてくれて、歳はとったけどいいわね、と言っていただけたら」

  • 出演 :辛島美登里 からしま みどり

    鹿児島県出身。国立奈良女子大卒業後、作曲家として活動を開始した。多くのシンガーに楽曲を提供した後、1989年アーティストデビュー。90年『サイレント・イヴ』が大ヒット。以来、さまざまなアルバムを発表しつつ、コンサートやライブ、ラジオのMC、エッセイなど幅広く活動中。

    オフィシャルサイトhttp://www.karashimamidori.com/

    新譜情報 10月25日リリース決定「Cashmere」

    〈コンサート情報〉

    『辛島美登里Christmas Symphonic Concert 冬の絵本2017〜赤ずきんの恋〜』

    12月23日(土)すみだトリフォニーホール 大ホール
    
開場16:30 開演17:00  S席 ¥8,000 A席 ¥5,500
    スペシャル・ゲスト:伊礼彼方
    音楽監督・指揮:千住明 演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団

    ピアノ:扇谷研人 ギター:伊藤ハルトシ
    
チケット一般発売:9月16日(土) 
    
お問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00-18:00)

    ヘアメイク 国府田 圭  

    HP http://kokufudakei.com/

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/