最近、永井の睡眠時間はどんどん短くなっているという。
「眠れないんです。夜中に海外の試合をずっと見ていて、サッカーのことをいろいろ考えていると3時4時になってしまう。で、朝方7時頃に目が覚めて、もう寝ていられないんですよ、横になっているのがもったいなくて。起きた瞬間からいろいろいろいろ考え始めて、今日の練習はどうしようか、先週末の試合で見つかった課題点を改善するのはこういう練習も必要だって、考えが次々と湧いてくる。せっかちなのか貧乏性なのかわかりませんけど(笑)」
 考えているのはずーっと、サッカーのことだけ。たとえば自分がこの先、どうしたいか、なんてことも、あまり考えてないらしい。
「行き当たりばったりです(笑)。自分が本当に監督に向いているのか、まだわからないし、ひょっとしたらマネジメントのほうが向いているのかもしれない。解説も、今まで一視聴者として見ているときは楽な仕事だと思っていたけど、やってみたら本当に難しい。でも楽しかったしね」
 そんなことより、真剣に考えているのは日本サッカーの未来だ。
「どうやったら良いチームが作れるか。ワールドカップで勝つためには、どこを目指すべきなのか。まあ、それは日本代表の監督が考えればいい話で、俺ごときが考えてどうなることでもないんですけど、真剣に考えてしまうんですよ(笑)。日本人は、フィジカル面では世界レベルで絶対に勝てないと思うんです。アフリカの選手とかに、1対1で向かっていって勝つのは難しい。でも日本人には知恵があるし、勤勉だし規律正しい。そういう特徴を活かして神業的な作戦を使えば、勝てると思う。そういう発想が必要ですよね」
 さらにいえば、サッカーには、勝ち負けよりも大事なものがある。
「なんでもいいから勝てばいいんだ、というサッカーに、僕は興味がないんです。僕の中でサッカーは、芸術です。見て、感動してもらえるサッカーを作るのが、僕の夢なんです」

  • 出演: 永井秀樹 ながい ひでき 

    1971年生まれ。大分県出身。1992年ヴェルディ川崎(現:東京ヴェルディ)に入団。1995年から福岡ブルックス(現:アビスパ福岡)に移籍後、J1、J2、JFLの各クラブで活躍してきた。その間、各クラブでナビスコカップ、天皇杯、Jリーグのステージ優勝などを経験している。2014年東京ヴェルディに7年ぶり5度目の復帰を果たし、3シーズンを過ごした後、引退を発表。25年間のプロ生活にピリオドを打った。今季より東京ヴェルディユース監督に就任。  

    撮影協力 東京ヴェルディ http://www.verdy.co.jp/index.html

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/