#2 歌手デビューと劇団四季
吉沢梨絵
- Magazine ID: 3411
- Posted: 2016.11.15
妊娠中に、子どもは女の子だと判明。どんな子どもに育てたいか、出産前に聞いてみた。
「自由に生きてくれればいいと思います。でも歌は好きになってほしい。いえ、歌でなくてもいいから、何か夢中になれることを見つけて欲しいです。心豊かに、感動することを知っていてほしい。そして人と人のつながりを大事にできる子に」
吉沢さんがそう言うのは、彼女自身のこれまでの人生が、教えてくれたことだから。
「5歳から劇団ひまわりに所属しました。オーディションでは当時流行っていた『帰ってこいよ』という歌を高らかに歌い上げて、ご満悦だったみたいです(笑)。とにかく歌手になりたくて、児童劇団に入ったのはそのための準備段階だと思っていました」
20歳のとき、オーディション番組を経て歌手デビュー。初志貫徹だ。だけど念願の歌手になってそれからが、うまくいかなかった。
「今振り返ると、歌手デビューしたところでゴールインしたような気持ちになっていました。その後どうすればいいのか、何をやっているのかわからなくなってしまった。今思えば、いただいた曲はどれも素敵な曲ばかりなのに、当時はそこに意識がいかず、焦りや空虚な気持ちでいました」
3年で大手レコード会社を辞め、その後は自分で作詞するなど新しい境地を開拓しようとしたけれど、なんとなくうまくいかない。そんなタイミングで、
「こんなのがあるよ、と当時所属していた事務所の社長が教えてくれたのが、劇団四季のオーディションでした。ミュージカルなんて全然興味なかったんですけど、とりあえず受けて見たんです」
すると、見事に一発合格。『マンマミーア』のメインキャストに大抜擢された。
それからが、怒濤の日々。
「朝早くからタイツを履いてバレエのレッスン。それが終わると着替えてジャズダンスのレッスン。さらに発声の練習をしてから、演目の稽古です。カルチャーショックでした。25歳になっていたので、なんで私が今さらバレエを? と思ったし、嵐に巻き込まれたような」
以来、年間200ステージ以上という歳月が7年間続いた。
「あの日々のおかげで強くなれたし、何のために生きてるんだろう? と思い悩むこともなくなりました。お客さんの前に立って歌いながら、成長できたのだと思います」
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出演:吉沢梨絵(よしざわ りえ)
1976年9月25日生まれ。東京都出身。1981年『劇団ひまわり』に入団し、子役としてTVドラマや映画に出演。1997年エイベックス(VOCALAND)から歌手デビュー。2002年劇団四季に入団。『マンマミーア』『赤毛のアン』『ふたりのロッテ』などで主演をつとめ、数多くのミュージカル作品に出演。2009年に退団し、イギリスに渡る。2010年帰国。2011年から芸能活動を再開。2016年1月から休業し、11月上旬第一子となる女児を出産した。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/yoshizawarie/取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/