美容家として活動を始めてすぐに、山本さんは自身がプロデュースした化粧品『シンプリス』の通信販売を始めた。たったひとり、自宅マンションからのスタートだった。

「ニューヨークで化粧成分の勉強もみっちりしていたので、既存の商品の説明書を見ては〝なんでこの成分が入っているんだろう？〟とか〝すごく良い成分を使っているけど価格が高すぎる〟など、いろんな思いがあったんです。だったら自分で欲しい商品を作ろうと思いました」

　できたのは、肌に必要な成分を確実に届けてくれる２本の美容液。化粧水なし、乳液なし、クリームなし。２本の美容液だけでスキンケアが完成する、シンプルなシステムだ。

「今、美容の主流はオーガニック系と最先端科学、この２通り。どちらも良いし、どちらも捨てがたい。〝だったら両者のいいとこどりをすればいい！〟という考え方です。欲張りですけど（笑）。オーガニック化粧品のベースとなる〈ホリスティック〉という理念と、科学を意味する〈メディカル〉、このふたつを合わせた【ホリディカル美容】を考案しお客様に提案しています」

　クレンジングやサプリメントなど、徐々に商品展開を進めて『シンプリス』は順調に発展。リニューアルを重ね、７年目の今年は容器も一新した。10月にはヘアケア商品も発売するなど順風満帆だ。
　そして、女性をキレイにするのは化粧品だけではない。

「ニューヨーク在住の時から愛用していた“フランスラックス”というヘアアクセサリーのブランドがあるのですが、帰国後日本では売っていないことに気付いたんです。調べてみたら、日本の代理店がなかったのですぐに本国へ交渉、プレゼンしました」

　3年前に日本の正規代理店となり、翌年には新宿伊勢丹、うめだ阪急に店を構えるほどに。
さらにはこの夏から、痩身サロンの経営もスタート。マッサージと食事制限を合わせたダイエットメニューを監修。著書『なんでやせないんだろう？ 35歳からの「もう太らない自分」の作り方』の中でもダイエットについて丁寧に分かりやすく書かれており、知識の深さが伺えるだけに、このサロンのメニューも是非受けてみたいところ。
　化粧品の開発にヘアアクセサリー輸入販売、そしてサロン運営。

「自分の分身が何人もいればいいのにと思うことが多々あって。自分のキャパシティーの狭さに無意識に涙がこぼれている時があるんです」

と話す山本さん。子育てとの両立は決して簡単なものではないはず。