ビリヤードを始めたのは18歳のとき。地元大阪でスカウトされて芸能活動を始めたが、そこで特技がひとつくらいあったほうがいい思い、ひらめいたのがビリヤード。
「父がビリヤードのプロだったんです。それまで全然興味なかったんですけど(笑)、教えてもらってやってみたら、ハマりました。これはグラビアとか役者をやるより面白いかも、と思い、芸能活動は一切止めて、プロを目指すことにしたんです」
 以来3年間、父親の経営する店で、1日10時間以上の練習を重ねた。
「父はあまり細かく教えてくれるタイプじゃないし、かといって他所で教わろうとすると、いい顔をしない。ほぼ自主練習に明け暮れました。16時間ぶっ続けに練習したこともあります。それが実って、たった3年でプロテストに合格することができました」
 21歳での合格は、史上最年少記録。そこから日本各地で行われるトーナメント戦に挑み始めた。最初は20位から30位の間を行ったり来たり。台湾に1年、シンガポールや米国にも3ヶ月と短期留学という名の武者修行を重ねて、いつの間にかランキング6位まで上昇した。そしてさあ、これから、という29歳のときに、またも人生の選択。
「トーナメントプロを止めました。試合に出始めたとき、ここから10年間でやめようと自分で決めていたんです」

  • 出演:江辺香織(えべ かおり)

    1984年生まれ。兵庫県出身。2006年12月JPBAのプロテストに合格、史上最年少プロの記録を更新した。

    Facebook page  https://www.facebook.com/ebekaori.official/

    ヘアメイク&フォトスタジオLuff  :本多将人

    撮影協力:

    東京ビリヤード倶楽部 http://www.tokyobilliardsclub.com/index.php

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/