今年1月、イタリアのヴェネツィアに行った。たったひとり、プライベートの旅だった。

「直前に決めたんです。前もって計画を立てるのが苦手なんですよ。スケジュールが空いていたのでマネージャーに〝ちょっと行ってきます〟って(笑)。ヴェネツィアでは、潮の満ち引きの加減で水上タクシーが来てくれなくて、すごく困った状況に追い込まれました。英語も全然できないし。そういうとき、人間力が試されますよね! 地図を広げて道を教えてもらって、なんとか自力で脱出しました」

 上間綾乃の唄を聴いたら、海外の人はどんなふうに感じるのだろう?

「何年か前、ドイツに行ったときに「アメイジング・グレイス」を歌ったんです、ウチナーグチで。そうしたら、〝あなたの喉はどうやってできてるの?〟って驚かれました(笑)」

 人と出逢い、土地と出合い、それを通して自分を知る。その積み重ねが、新しい作品へと実を結んでいく。

「夏に出るアルバムでは、ヴェネツィアやハワイに行かなければ生まれていない曲が入っています。今まで音作りにおいて、色々な事に挑戦してきました。今回の作品は、試行錯誤する中で、想いも、音作りも、よりシンプルに丁寧に紡ぎました。自分のルーツや原点をしっかり生かして、これからも表現者として成長していきたいです」

  • 出演:上間綾乃(うえま あやの)

    沖縄県生まれ。7歳から唄三線を習い始め、19歳で琉球國民謡協会の教師免許を取得。沖縄民謡で培った声をベースに、深い表現力と圧倒的なステージで、全国各地でライブを中心に活動。2012年アルバム『唄者』でメジャーデビューを果たした。翌13年シングル『ソランジュ』を発売、7月FUJI ROCK FESTIVAL`13に初出場、9月セカンドアルバム『ニライカナイ』をリリース。14年サードアルバム『はじめての海』を発表。

    オフィシャルサイト http://columbia.jp/uemaayano/

    ヘアメイク:西田裕美子(Manoa)

    https://www.facebook.com/yumikonishida.manoa/?fref=ts

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/