将来やってみたい仕事は、やっぱり報道。

「いつかは報道、行きたいですね。でも報道をやるとなったら現場取材は当たり前なので、今は子供が小さいので、絶対に無理。いつか子育てで余裕ができた頃に、そういう機会があったらいいなと思います」

 そう痛感したのは、東日本大震災のときだった。

「各局のニュースを見ていて、女性キャスターはたくさん活躍していましたけど、子供を持った女性の視点から震災や原発事故を話す人は少なかった。一視聴者として見ていると、そういう視点も欲しいなと思ったんです」

 そういえば、たしかに。女性キャスター、女性アナウンサーはたくさんいるけれど、結婚して子育てを経験した上で報道の最前線にいる人は、なかなか思いつかない。キャリアか、結婚&子育てか。女性がこの究極の二者択一から解放されないうちは、本当の意味で雇用機会均等なんて実現しないのかも。

「最近も報道の危機と言われていますけど、どこの国の政府だって圧力をかけることはあると思うんです。でも報道は、圧力をかけられても闘っていかないと腐ってしまう。メディアに関わる者として、流されないように騙されないように、きちんと考えていきたいですね」

  • 出演:阿部哲子(あべ あきこ)

    1978年生まれ。千葉県出身。横浜国立大学卒業後、2001年アナウンサーとして日本テレビに入社。人気番組『スッキリ!!』などに出演の後2006年に結婚し、翌年退社。2008年第一子を出産。現在はフリーアナウンサーとして活躍中。『バラいろダンディ』TOKYO MX火曜・水曜・木曜 夜9時~10時 『淳と隆の週刊リテラシー』TOKYO MX 土曜日午後5時 『未来展望』TOKYO MX月曜夜8時 などにレギュラー出演中。他にもラジオ、ナレーションなど幅広く活動している。アワーソングズクリエイティブに所属。

    オフィシャルサイト http://www.oursongs-creative.jp/

    オフィシャルブログ http://ameblo.jp/akikoabe1104/

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/