「こんな話があるんです。1913年、アメリカのある町に、メイベルちゃんという女の子がいました。彼女がデートの前に化粧しながら〝もっとまつげが濃ければ良いのに〟と、つぶやいたのを聞いて、薬剤師をしているお兄さんはワセリンゼリーに石炭の粉を混ぜたものを作ってあげました。それを塗るとまつげが濃くなって、メイベルちゃんは大満足。それがマスカラという化粧品の始まりだそうです。メイベル+ワセリンで、メイベリン。マスカラで有名な化粧品メーカー名には、こんな由来があったんです!」

 そのマスカラの役割は、まつげを濃く長く、印象的に見せること。

「マスカラってたくさんの種類があるんです。ボリュームを出すもの、長さを伸ばすもの、カールを付けるもの、カラー・ヴァリエイションもあるしね。その中からこれ、と選ぶことから、女性のお化粧は始まっている。しかもマスカラを付けるときの女性の表情は、真剣ですよ。お化粧に込める想いが、凝縮している。その努力に見合う分だけ、彼女の瞳を見つめてあげてもいいと思います(笑)」

 ついでに、〝キレイな目だね〟なんてひと言も付け加えれば、パーフェクト! 

 メイクアップと同じくらい、男性の褒め言葉は、女性をキレイにしてくれるのだから。

  • ヘアメイク:SHIGE

    美容師免許を取得後、サロン勤務の後、雑誌、コレクションなどでヘアメイクとして活動を開始。メイクアップアーティストRUMIKO氏に師事し、2004年渡米。ニューヨークでフリーランスのヘアメイクとして活動。2007年に帰国、東京に拠点を移し、現在に至る。

    オフィシャルサイト http://www.hkprod.com/h-bbb/shige/

    モデル:延時成実

    衣装提供

    Danny&Anne http://dannyanne.com/store

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『BAILA』『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/