スポ根少女の秘めたる思い
小野しおり
- Magazine ID: 1437
- Posted: 2014.05.20
香川県の高松市に生まれ育ったしおりちゃんは、子どもの頃から人一倍オテンバで、青春時代はスポーツ一色。中学、高校ではバスケットボール部に所属して、「1日に何kgも痩せるような」ハードな練習に明け暮れていたという。
だが、そんな自他共に認めるスポ根少女の心には、実は誰にも言えない思いが秘められていた。「小学生のときに、NHKのドラマに出演していた栗山千明さんを見て、なんてステキなんだろう、って。私も芸能界に入って栗山さんのような女優になりたい! 親にも友達にも言えなかったけど、ずっとそう思っていたんです」
その思いは高校卒業後に理学療法士になるための専門学校に入ってからも、心の奥底でずっとくすぶっていた。「とにかく一度トライしてみないことには、この夢を絶対に諦めきれない」と。
そんなしおりちゃんの目に止まったのが、香川県の百十四銀行が公募していたCMガールのオーディション。「これに挑戦してダメだったら、芸能界への夢はキッパリと諦めよう」と覚悟を決めて書類を送ったところ、なんと約300人の応募者の中から見事に合格!
「ものすごく嬉しかったですね。プロの方にヘアメイクをしてもらい、CMやポスターの撮影に参加して。そのときに、ああ、私はやっぱりこの世界でやっていきたいと、あらためて実感したんです。それで、芸能界に入るにはとにかく東京へ行かなきゃと、すぐに学校を辞めることに決めました」
スポ根少女の突然の豹変ぶりに、当然、両親は大反対。「東京なんて絶対に行かせない!」と、部屋にカギをかけて閉じ込められたり、携帯電話やキャリーケースも隠された。
「でも、私の決心は固かった。このまま香川にいても何も始まらない。子どもの頃からの夢を実現させるために、なんとしても東京へ行かなきゃと」
その強固な意志はハンパじゃない。母の手からキャリーケースを取り戻した後は、“一番安上がりな方法”で逃避行を計画。高松から神戸までフェリーに乗って、そこから格安のジェットスター航空で東京まで飛ぼうと考えた。
もちろん、両親には内緒で家を出るはずだった。だが、友達がチクったために、フェリー乗り場にはなんと母の姿が! 連れ戻されると思いきや、あれだけ反対していた母が「体には気をつけてね」と、手作りのオニギリをそっと持たせてくれたのだ。
「そのオニギリをフェリーで頬張りながら、思わず号泣しちゃいました。母の思いに応えるためにも、東京で成功するまでは絶対に地元には戻らない。その誓いを胸に、“よっしゃあ!”と、羽田空港に降り立ったんです」
まるで昭和の演歌みたいな光景だが、東京に着いた時点では住む場所さえも決まっていなかった。もちろん、芸能界へのツテもコネもない。だが、そんなしおりちゃんは、都会の真ん中で、まさに幸運の女神のような人物に出会う。それはいったい誰だったのか? 続きは明日のお楽しみ♪
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小野しおり
1992年、香川県生まれ。高松商業高等学校卒業後、四国医療専門学校へ進学。同校在学中の2012年に、香川県・百十四銀行のCMガール「サリュカ美人」に選ばれる。BJリーグ「ファイブアローズ」イメージガールも。同年末に上京。14年に芸能プロダクションのスタッフ・アップに所属。
小野しおり公式プロフィール http://www.staff-up.net/staffup/9.html
小野しおりオフィシャルブログ http://ameblo.jp/shiori-ono0201/ -
取材・文:内山靖子
ライター。成城大学文芸学部芸術学科卒。在学中よりフリーのライターとして執筆を開始。専門は人物インタビュー、書評、女性の生き方や健康に関するルポなど。現在は、『STORY』『HERS』(ともに光文社)、『婦人公論』(中央公論新社)などで執筆中。
撮影:萩庭桂太