オールダー・ビリー役は大貫勇輔にとって、どうしても演じたい役だった。
「3年前、ロンドンで『ビリー・エリオット』を見たんです。終わっても席から立てないくらい、心底感動して涙が止まりませんでした。素晴らしい舞台だった。それを日本でも上演すると聞いて実は、できるんだろうか? と思っていたんです。でも製作発表の場で日本のビリーたちのパフォーマンスの素晴らしさに驚き感動して、また泣きました(笑)。夢に向かって努力すると、こんなに人間は成長できるんだと思った。自分はここまでやれているだろうか、と、今は毎日稽古場に通うたびに、胸に手を当てて自問自答しています」
 大貫自身は子どもの頃、かなりの悪ガキだったそうで。
「小学生のときがピークでしたね。先生とか親の前では優等生のふりをするけど外で悪いことをする、タチの悪いガキでした(笑)。母親が心配して、厳しいと評判の中学校に入れてくれたんです、引っ越しまでして(笑)。そこで性根をたたき直されて、ダンスが好きになっていった。自分の言葉にならない感情がダンスによって表現できたから、ダンスで救われたような気がしています」
 ジャズモダンから始まって、ストリートダンス、コンテンポラリーダンス、さらに〝やっぱり基礎が大事だなと思い〟クラシックバレエも始め、タップもこなし、やがてプロのダンサーになっていたという。
「ダンスが一番好きで、芝居とかミュージカルは、どちらかというと苦手でした。でもたまたま声をかけていただいて『ロミオ&ジュリエット』のオーディションを受けてみたら、採用していただいた。そして実際にやってみたら、ダンスでは表現しきれないものがミュージカルにはあると気づいたんです。とはいえ、最初は芝居とか歌がとにかくダメで、泣きながら稽古しました。そこからずっとトレーニングを重ねての、今なんです」
 今ではあのマシュー・ボーンに抜擢されるなど、世界的に注目される存在に。ストレートプレイや映像へも、活躍の場を広げている。
「『ビリー・エリオット』を、早く日本のお客様に観て欲しい。お客様がどんな顔をして、どんな反応をしてくれるのか、楽しみで楽しみでしかたないです。今はこの作品に関われていることに感謝しながら、毎日稽古に励んでいます」

  • 出演 :大貫勇輔 おおぬき ゆうすけ

    1988年8月31日生まれ。17歳からプロのダンサーとして数々の作品に出演してきた。バレエ、ジャズ、コンテンポラリー、モダン、ストリート、アクロバットといったジャンルの壁を飛び越えて、国内外で活躍中。
    オフィシャルサイトhttp://www.yusukeonuki.com/

    日本版!『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』

    【公演情報】
    7月19日~10月1日 東京・TBS赤坂ACTシアター
    10月15日~11月4日 大阪・梅田芸術劇場メインホール
    オフィシャルサイト http://billyjapan.com/

    チケット等のお問い合わせ 03-3490-4949 (平日10:00-18:00/土曜 10:00-13:00/日祝・休)
    公式twitter @Billy_Japan

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/