脚本を書いたその後に、弓削さんはもうひとつの挑戦を始めた。役者以外の仕事を始めたのだ。

「もともと他の事にも興味があったのと家族の高齢化もあって、家業を手伝うことにしたんです。時間を無駄にしたくなかったのもあったんですけど。
それから今まで普段は朝から会社に行って働いています。役者の仕事があるときはその少し前に切り上げて、車で撮影場所に向かう。移動しながらセリフの練習をする時間がすごく好きで(笑)、車の中で自分をリセットしているんでしょうね」

 なんか、一般人の生活を送りながら、いざとなると変身する、仮面ライダーみたいだ。

「どっちも大事でどっちも本気なんです。責任感もありますしどちらにも叶えたい夢がある。そっち側でもいろんな出来事が起きるし、尊敬できる人と知り合えたり、なにか達成したときにはすごくうれしい。フツウってすごいなって思うんです。それに違う世界を知ってから、前よりも違う表現ができるようになった。役者としてもプラスになっていると思います。」

  • 出演:弓削智久(ゆげ ともひさ)

    1980年5月25日生まれ。東京都出身。身長186㎝。『仮面ライダー龍騎』で注目を集め、映画、ドラマ、舞台で活躍。最近の出演作はドラマ『ヤメゴク』(TBS)『アイムホーム』(テレビ朝日)『デスノート』(日本テレビ)映画『騒音』など。今後の予定としては舞台タクフェス第3弾『くちづけ』(脚本・演出:宅間孝行)2015年10月7日~18日サンシャイン劇場 以降、全国ツアー。映画『はなちゃんのみそ汁』12月公開予定 

    オフィシャルブログ http://ameblo.jp/yuge-tomohisa/

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/