2月末からスタートした「萩庭桂太 YOUR EYES ONLY」も半年以上が経過した。この連載に登場してくれた人たちがその後、それぞれに活躍の場を広げているという話を聴くのは、なんともうれしいものである。

 まだみんな若いので豊富なキャリアがあるわけではないが、将来もっと輝きを増すに違いないと思わせる“原石”たちばかりだ。今週は、そんな人たちのなかでも今、乗りに乗ってる3人を紹介したい。

 まず1人目は、中別府葵である。

 残暑厳しい土曜日、萩庭桂太と私は、9月に東京銀河劇場で舞台「ハイスクール歌劇団☆男組」に出演するという彼女に会いに行った。稽古場は西新宿の元小学校の中にあった。以前『ピーターパン』の稽古も巣鴨の元小学校で行われていたが、少子化で廃校となった都内の校舎はこんなふうに利用されているところが多いようだ。

 葵ちゃんは黒ずくめの稽古着で現れた。何キロ痩せたのだろう。以前よりほっそり、大人っぽくなった様子。痩せたねえ、と声をかけると「やったー」と言わんばかりの明るい笑顔になった。

「うちでは野菜、玄米、豆腐という食生活をキープしています。人と会って食事をするときは、ちゃんと楽しい時間じゃないといやだから、気にしないでなんでも食べてますけどね。前回のインタビューで、自分で言ったことをちゃんと実行しなくちゃと思って、頑張りましたよ~」

 有言実行を誓ったことのひとつが「ミュージカルに出たい」ということだった。そこに着々と近づきつつある。

 今回の彼女の役柄は、女子校で宝塚歌劇のように男役を演じる女のコ。舞台では力強く男っぽいけど、私生活ではナイーブでちょっと奥手なキャラクターだ。男役を演じるときは颯爽と、でも実際の恋愛は不器用で初々しく、と女のコの二面性を一生懸命演じていた。

「宝塚歌劇だったり、ラインダンス、ヒップホップ、殺陣と、これまでやったことのないものに挑戦しています。さらに、来年にはもっと夢に近づくチャンスをいただきました! 毎日がワクワクでいっぱいです」

 ワクワクは見ていても伝わるものだ。自分を磨く日々の苦しさは今は自分にしかわからないけれど、必ずや、それが強い輝きになる日が来るんだよと、彼女に伝えたい気がした。

「今回、殺陣をやる機会があり、ずっとやってみたいと思っていたので、これを機にプライベートでも殺陣を習うようになりました。アクションも学んで、体力、身体能力に自信をつけ、アクションものの作品にも参加してみたいな、と思っています」

 アクション、ときたのは意外だった。でも彼女のピュアでワイルドな魅力が、また新しく目に映ることだろう。

 次に会うときのべっぷちゃんが、本当に楽しみだ。

  • 出演:中別府葵

    1990年熊本県生まれ。血液型A型。172センチの長身で演技にモデルにと活躍する女優。08年にテレビ東京のドラマ24「ウォーキング☆バタフライ」で初主演し、その存在感に話題を集める。その後、テレビや映画に出演、今年3~4月、東京シアターコクーンなどで上演された白井晃演出『幻蝶』では、ストリッパー役を好演した。9月には東京・天王洲の銀河劇場『ハイスクール歌劇団☆男組』に出演する。
    http://horipro.co.jp/talent/PF097/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太