チャンピオンになった豊島さんを待ち受けていたのは、チャンピオンであり続けることのプレッシャーだった。

「翌年からは1位を守るのがつらかったです。出場者がゼロだったらいいのに、と真面目に思いました」

 それでも頑張った。しかし、5年目の挑戦の年、ある事件をきっかけに大会自体がなくなってしまうという思いもよらないシチュエーションとなった。

「ある問題があって、会長が今年はもうやらないと鶴の一声で決まってしまったんです。私にとってはそれでよかったのかもしれませんけど。そこで、次に何をやるかと考え始めました」

 今までやってきたことを無駄にはしたくない。それで、トレーナー業を始めた。一対一のパーソナルトレーニングを専門にする。ウエイトトレーニングなどのほか、バイパーという、バズーカ砲のような器具を使ったトレーニングを教える資格もとった。

「私のところに来られる方は、美意識が高く、美への投資を惜しまない人が多い。美食もし、でも身体はキープしたい。おかげさまでスケジュールは満杯です」

 これからは、メディアでの仕事や、DVDなど商品開発の仕事もやってみたいそうだ。

「マンツーマンも楽しいけれど、より多くの人にトレーニングの面白さ、自分の身体を変えていくことの面白さを知ってもらいたいんですね」

 ウエイトを持って目黒の住宅街の路上で撮影した。

「両手にもたないと、絵にならないでしょう」

 12キロを両手にもって笑顔になる彼女に、近所のカフェのスタッフたちも、笑顔で拍手を送っていた。

Best Beauty 100

http://bestbeauty100.com/

  • 豊島香奈子

    JPC全日本ボディビル選手権大会のなかで、女性らしい筋肉美を競う「ミズフィギュア」部門で2007年から10年まで4年連続優勝。現在はそれらの経験を生かし、ボディメイクのスペシャリストとして、2012年目黒にボディメイク専門スタジオStudio K-bodyをオープン。ボディメイクトレーナーとして男女問わず多くのクライアントの指導にあたっている。ボディメイク、ダイエットセミナーの展開やそのノウハウを詰め込んだ著書『脱いでもキレイダイエット』を電子書籍化。
    シンクバンク(所属事務所) http://www.thinkbank.jp/
    ボディメイク専門スタジオ「Studio K-body」 http://www.studiok-body.com/

  • 取材・文:森 綾

    1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本多数。自著には女性の生き方をテーマにしたものが多く『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)、映画『音楽人』の原作など。
    ブログ『森綾のおとなあやや日記』 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太