BEST BEAUTY 100は、美しいだけでない、多才なワザをもつ女性たちが集まるプロジェクトだ。

 だから「へー、こんな人がいるんだ」といちいち驚かされる。

 今回登場していただくもう1人の女性、豊島香奈子さんは、ボディビルのフィギュアという部門で、2007年から10年まで4年連続で日本チャンピオンになったという筋金入りの筋骨美女である。

「1年間、トレーニングして身体を作り上げ、3つの審査に臨みます。1)規格審査、2)スピーチ、3)ウォーキングとポージングです。フィギュアという部門は、ボディビルほどの筋肉は求められません。絞り具合、バランスを見ます。スピーチはテーマをもとに1分くらい。これは私服を着るんですが、最初の3年はドレスを着ました。そして4年目の年はアーミースタイルで挑みました!」

 最後にウォーキングとポージングでトータルに見るらしい。

 筋肉隆々の身体作りは、機能性食品やサプリをとりながら、トレーニングで作っていくという。簡単に言えばそういうことだが、その過酷さは想像を絶する。

 しかしまあ、なぜそんな過酷な身体作りをしてまで、筋肉のある身体になりたかったのだろう。

「映画が好きでよく見るんですね。『ターミネーター2』のサラ・コナーが、牢獄で懸垂をやっているシーンを見て、あ、この背中だ! と思ったんですよ。かっこいいなあ、と。あれを見ていなかったら、今の私はないかもしれません」

 その一瞬で恋に落ちたようなものなのだろうか。見事にそんな背中を手に入れ、日本一に輝いてしまうなんて。その結果、彼女はどう思ったのだろう。

「これだけトレーニングして、こんなものか、というのが正直な私の感想でした。コーチからは『おまえはボディビルダーの質じゃないなあ』と言われました。食べなさ過ぎると。実は、オフにいかに肥れるかが大事なんですよ。脂肪は筋肉を発達させるのに必要なんです。体重があるほうが重いものを持ち上げたりできますしね」

 とはいえ、優勝した瞬間の快感は大きかった。

「減量は過酷で、毎年、もう二度としたくないと思っていました。でも優勝した瞬間、10年分のアドレナリンが出たんです。初めて出たときは2位で、翌年優勝したんですが、そのときが一番嬉しかった」

 4年連続1位で、彼女は選手生活を終えた。

 そこにはどんな葛藤があったのだろう。

Best Beauty 100

http://bestbeauty100.com/

  • 豊島香奈子

    JPC全日本ボディビル選手権大会のなかで、女性らしい筋肉美を競う「ミズフィギュア」部門で2007年から10年まで4年連続優勝。現在はそれらの経験を生かし、ボディメイクのスペシャリストとして、2012年目黒にボディメイク専門スタジオStudio K-bodyをオープン。ボディメイクトレーナーとして男女問わず多くのクライアントの指導にあたっている。ボディメイク、ダイエットセミナーの展開やそのノウハウを詰め込んだ著書『脱いでもキレイダイエット』を電子書籍化。
    シンクバンク(所属事務所) http://www.thinkbank.jp/
    ボディメイク専門スタジオ「Studio K-body」 http://www.studiok-body.com/

  • 取材・文:森 綾

    1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本多数。自著には女性の生き方をテーマにしたものが多く『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)、映画『音楽人』の原作など。
    ブログ『森綾のおとなあやや日記』 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太