つい最近、演劇業界にいる人や演劇ファンをびっくりさせるニュースが駆け巡った。発信源はこの4人。ウロンなオーラを発散している、オッサンたちである。写真後列左〜長塚圭史、山内圭哉、福田転球、大堀こういち 。
 この4人が演劇ユニット『新ロイヤル大衆舎』を結成、第1回公演として『王将』を上演すると発表したのだ。それぞれが俳優であり、演出家であり、脚本を書く作家でもある。ひと癖もふた癖もある、ツワモノというかクセモノというか、なんとも魅力的な男たち。演劇ファンならずとも〝見たことある!〟〝この人、知ってる〟という人が多いはず。
 結成のきっかけを作ったのは、大堀こういちだ。
「福田転球さんが本書いて、長塚さんが演出して僕や山内さんが出る舞台、作ったら面白いと思ったんですよね」(大堀)

「この4人なら良い感じだと最初は思いました。けど、転球さんが脚本&大堀さんが出演している舞台を見たばかりだったので、二番煎じなんか冗談じゃない、絶対にイヤだと(笑)」(長塚)

「話が流れたのかと思っていたら、今度は長塚君のほうから『前々から転球さんにやらせたかった役がある』って言うんです。〝それは何?〟って聞いたら『坂田三吉、王将』って。あ、なるほど、と思った。まさに坂田三吉そのものなんです、転球さんは。すごく面白いのに売れない(笑)。本当に生きるのが不器用な人で、人生の間が悪いひとなんで」(山内)

 そこから一気に、話は具体化。だがこの4人の発想は、とんでもない方向へ。
「『王将』は3部作なので、それを一挙上演とか、それくらいしたほうが、楽しくない?って。そんなリスキーなこと、ヨソでは絶対やらない。それくらい負荷のあるもののほうが楽しそうやねって。じゃあついでに劇場もめちゃくちゃ狭い劇場でやるか、と。お仕事っぽくなってもツマンナイし、もっとなんか泥臭く、無茶でけへんかなって」(山内)

「下北沢にある小劇場、客席数80のね、そこに決めました。実は以前、客席数700の劇場で『王将』やるなら三吉はどうしようって話になったんです。転球さんって言ったけど実現しなかった(笑)。で、僕は『ナニクソ!』と。ずっと大きな花火を打ち上げてやるって。こういうことです」(長塚)

「このメンバーが集まれば、集客できる。ある程度収益が見込めるから、小銭稼ぎになるかと思って言い出したことなんですけどねー。まったく僕の思惑とは違う(笑)」(大堀)

 お気づきだろうか。話の中心、福田転球はここまでひと言も語らず。みんなの話を世間話のように聞いて、笑っている。
まったくこの人たち、40代~50代だというのに、いつまでたっても演劇青年のまま?
 いったいどんな人物なのか、ひとりずつ、今週のYEOに登場してもらいます。明日から金曜日までの連載、お楽しみに!

  • 出演: 新ロイヤル大衆舎 

    福田転球と大堀こういちと長塚圭史と山内圭哉が変な勢いで作ってしまった演劇ユニット
    ホームページ  http://shinroyal.com/

    公演情報 :『王将』

    作/北條秀司 構成台本+演出/長塚圭史 音楽/山内圭哉 2017年4月27日(木)~5月14日(日) 下北沢『小劇場 楽園』にて 3部作(1部13st/2部11st/3部11st 計35ステージ)チケット一般発売2月25日(土)10:00~
    問い合わせ先 : 新ロイヤル大衆舎   http://shinroyal.com/

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/